ビットコイン現物ETFはゲームチェンジャーにはならない:JPモルガン

アメリカ証券取引委員会(SEC)がビットコイン(BTC)の上場投資信託(ETF)を承認しても、多くの理由から暗号資産(仮想通貨)市場のゲームチェンジャーにはならないだろうと、JPモルガン(JPMorgan)は7月6日の調査報告書で述べた。

SECは多数の申請を受けているにもかかわらず、まだETFを承認していないが、以前の懸念事項のいくつかは最近の申請で解決されたと考えられるため、現在ではSECがまもなくETFを承認するとの楽観的な見方が強まっているとJPモルガンは述べている。

ニコラス・パニギスツォグロウ(Nikolaos Panigirtzoglou)氏率いるJPモルガンのアナリストは「スポット型ビットコインETFは、アメリカ以外ではカナダやヨーロッパでしばらく存在していたが、投資家の大きな関心を集めることはできなかった」としている。

ブラックロック(BlackRock)の一部門は6月、ビットコインETFの組成を申請し、インベスコ(Invesco)やウィズダムツリー(WisdomTree)など、他の資産運用会社も申請や再申請を行った。

「先物ベースや現物を裏付けとしたファンドを含むビットコインファンド全体は、2021年第2四半期以降、投資家の関心をほとんど集めておらず、過去1年ほどのゴールドETFからの投資家流出の恩恵も受けられなかった」と報告書は述べている。

現物を担保にしたビットコインETFは、先物を担保にしたファンドと比較していくつかの利点があるが、JPモルガンは、それはわずかなものだとしている。スポットETFは、より直接的で安全なビットコインへのエクスポージャーを得る方法を提供し、BTCの保管と移転にまつわる複雑さや、先物ベースの商品に関連するリスクを取り除く。

「スポットETFは、先物ベースのETFよりもリアルタイムの需給を反映する可能性が高く、アメリカで承認されれば、スポットビットコイン市場の流動性が高まり、価格の透明性が高まるだろう」と報告書には書かれている。

JPモルガンによると、スポットビットコインETFの導入は「先物ベースのビットコインETFに取って代わる程度には」アメリカのビットコイン先物市場からの取引活動や流動性の移行につながる可能性があるという。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Nikhilesh De/CoinDesk
|原文:SEC Approval of Spot Bitcoin ETF Is Unlikely to Be a Game Changer for Crypto Markets: JPMorgan