ツイッター消滅、「クリプト・ツイッター」はどうなる?

今朝、自分のツイッターのアーカイブを少しの間眺めていた。ツイッターが暗号資産(仮想通貨)の世界にとって何を意味したかを振り返り、「クリプト・ツイッター」が終わってしまうかもしれないことが将来的に何を意味するのかを考えているところだ。

さようなら、ツイッター

というのも、私たちが知るツイッターは、今週突然X.comにリブランディングされ、公式に消滅してしまったからだ。ここに至るまでの数カ月には、激減する広告収入の代わりとするために導入された法外な有料サブスクリプションのおかげで、ツイッターの活力は明らかに低下していた。

イーロン・マスク氏は現在、ツイッターにまったく興味を失っているようで、ツイッターが定義の定かでない「全能アプリ」の中核になると発表した。

以下は、どうやら、2013年4月4日に私が初めてビットコイン(BTC)についてツイートした時のもののようだ。

「RT @mwidner: ビットコイン現象に関する詳細な記事、ビットコインに関するツイートの量はその価値と相関関係にある:medium.com/money-banking/…

(若い人のために言っておくと、これは「リツイート」機能が実装される前の話で、誰かのツイートをコピー&ペーストするときには、その前に「RT」と入力していた。また、ツイッター、いや、X.comの20年近くになるアーカイブが、いまだにこれほどうまく機能していることにも感心させられた。いつまで続くか今後のお楽しみだ)。

こうした古いツイートをスクロールしていくと、暗号資産に関する自身の考え方の変遷を辿ることができた。それは、アンドレアス・アントノプロス(Andreas Antonopoulos)氏をはじめ、自分よりも賢い人たちとの会話や交流によってもたらされたものだ。

アンドレアス氏や他の多くの重要な思想家たちとは、主にツイッターを通じてつながった。ツイッターは、リンクトイン(LinkedIn)よりも優れた存在として、そして私がこれまで交流してきた暗号資産に関わるほぼすべての賢い人々のアーカイブとして機能し続けている。私の指先には、さまざまなトピックに関する専門家のリストがあり、私は彼らの専門知識に信頼を寄せている。私は彼らに記事に関して協力してもらう前に、何週間も、何カ月もコミュニケーションをとってきた。

私の経験は、重要な議論だけでなく、採用、戦略的提携、取引など、ツイッターを通じて築かれた同様の生産的なつながりの中の小さな1点にすぎない。有用性が完全になくなることはないだろうが、有料課金者以外のダイレクトメッセージを制限するような動きは、有用性を減少させることはほぼ間違いなさそうだ。

ツイッターの衰退により、暗号資産を扱う人々は何カ月も前から代替オプションを探していた。ひとたび多くの人々が別のサービスに向かえば、本物のクリプト・ツイッターは、以前Twitter.comとして知られていた場所にはもう存在しないことに突然気づかされるかもしれない。

クリプト・ツイッターの後に来るもの

ツイッター/X.comから逃げ出した人たちを惹きつけているサイトが6つほどある。どれも魅力的だが、数カ月に及ぶ広範囲なテストの結果、いくつかの明確な勝者と、おそらく生き残らないであろうものが浮かび上がっている。

勝者たち

Bitcointalk.org – 暗号資産エコシステムで最も由緒ある重要な掲示板は、いまだに健在。確かにビットコインにほぼ特化しているが、ツイッターがユーザーを流出させている今、この掲示板や他の旧式な掲示板は再活性化に値する。

今日の暗号資産の世界を作り上げた基盤となる議論の、歴史的に貴重なアーカイブを備えているだけでなく、そのしっかりとした評価システムは誰が耳を傾けるのに値するかを明確にすることに役立つ。より一般的には、スレッド形式のディスカッションがフォロワー欲しさの叫び声ではなく、理性的で詳細な議論を促している。

Nostr – 多くのビットコイナーがここに集まっているようだ。Nostrは真の分散型プロトコルで、(ビットコイナーにとっては)なじみのある公開鍵と秘密鍵のペアシステムを使用し、コンテンツを配信するために中央サーバーに依存しないリレーネットワークを採用している。

ジェイムソン・ロップ(Jameson Lopp)氏などの暗号資産の大物によって広く称賛されているが、欠点がないわけではない。暗号資産の真剣なサイファーパンク(社会変革の手段として暗号化技術の利用を推進する人たち)の大半にとって、必要となってくるプラットフォームと思われる。

Bluesky – Blueskyは、普通の人々にとって最も魅力的なツイッターの代替オプションとなりつつある。ユーザーエクスペリエンス(UX)は、機能は少ないものの、事実上ツイッターと同じ。ツイッターを最初に素晴らしいものにした(そしてマスク氏が認証システムの変更によって攻撃的に遠ざけた)アメリカ両海岸地域のメディアや政界の権力者たちをすでに惹きつけている。最悪の事態が起こった未来で、私が最も時間を費やすことになるのもここだろう。

ディスコード(Discord) – 暗号資産の世界では、ツイッターが衰退するずっと以前から、より狭く、よりパブリックではないディスコードへのシフトが始まっていたが、マスク氏のツイッター買収後、それが加速することはほぼ間違いなさそうだ。これは、インターネット上での議論がよりプライベートで排他的な環境にシフトしていく広範な動きと一致するものでもあり、深い理解とより長期的な関係に根ざした強力なコミュニティの形成にとってプラスになると私は考えている。

レディット(Reddit) – レディットは暗号資産を含め、ほとんどどんな話題に関しても真剣に話せる素晴らしい場所であり続けている。Bitcointalkや他のフォーラムと同様、その評価システムとフォーマットはニュアンスのある議論に理想的だ。とはいえ、r/Bitcoinとr/BTCの長年の確執に代表されるように、それぞれのサブレディットにはそれぞれのモデレーターがいて、独自の議題があることを忘れてはならない。

敗者たち

マストドン(Mastodon) – 「欲しいと思っていても、実は欲しくない」が形になったソーシャルメディア・ネットワーク。マストドンの「連合型」モデルは、暗号資産好きが好むようないくつかのアイデアを具現化している。しかし、ユーザーからの報告では、一般的にユーザーエクスペリエンスが不便で、興味深いものの、連合型サーバーモデルは少し孤立しすぎているようで、ネットワーキングの可能性を制限している。

Threads – マストドンは多くの人にとって技術的に難解すぎるかもしれないが、Threadsは逆方向に欠陥を抱えているようだ。あまりにアクセスしやすく、機能が限られすぎている。おそらく何よりも、Threadsのアカウントをインスタグラムのアカウントと関連付ける必要があるため、匿名性を保つことが難しくなり、暗号資産ユーザーにとっては大きなマイナスとなる。また、Threadsのコンテンツの質は非常に低く、構造的な理由から低いままとどまる可能性が高い。

しかし、Threadsには明るい兆しもある。インフルエンサーやボット、詐欺師など、影響を受けやすい大量のターゲット層を必要とする人たちにとって、Threadsは非常に魅力的な拠点となる可能性があるのだ。

つまり、より強固で地に足のついた暗号資産の対話の場から、そのような人たちが切り離される可能性があり、それは良いことだ。

結論: 本当の意味での代替オプションは存在しない

ツイッターからの移住者にとって魅力的な選択肢が多様であることは、ツイッターに簡単に取って代わる単独のサービスが存在しないことを強く示唆している。BlueskyやNostrのようなサービスの機能やインフラは、新しいソーシャルプラットフォームを選ばざるを得ない時には重要だ。しかし、どんな機能も、長年にわたって築き上げられた多くのつながり、「ソーシャルグラフ」と呼ばれるフォローやフォロワーには太刀打ちできない。

そのことだけでも、新しいX.com上にクリプト・ツイッターの必要不可欠な集団をアクティブに保つには十分かもしれない。マスク氏は確かに、エクスペリエンスを低下させ、ユーザーを疎外することに成功したが、ほとんどの人がすでにそこにいて、とどまるだろうというだけで、X.comはどの代替オプションよりもほんの少し有利であり続けるかもしれない。私も個人的には、元ツイッターで最もアクティブに活動している。

今回の事態はまた、暗号資産支持者にとっては驚くべきことではないが、より大きなポイントを痛感させる。この種の公共インフラは、1人の大金持ちによって簡単に吸収され、解体されるべきではないということだ。

ツイッターの凋落に大きなプラス面があるとすれば、それは一般の人たちがデータのポータビリティや、私たちが10年にわたって叫び続けてきた他の問題について、より真剣に考え始めることかもしれない。

|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:Omar ElDeraa / Shutterstock.com
|原文:Twitter Is Dead. Long Live Crypto Twitter?