イーサリアム、バリデーター追加の待ち時間が大幅減少──ステーキング需要低迷の兆候

イーサリアムブロックチェーンで、新しいバリデーターを追加するためのキューの混雑がほぼ完全に解消された。

これは、4月に行われた大規模アップグレード「シャペラ」以来で初めてとなる。シャペラでは、完全に機能するプルーフ・オブ・ステーク(PoS)への移行が完了した。

待ち時間が5時間未満に短縮

ブロックチェーンのデータによると、現在ネットワークへの追加を待っているバリデーターの数はわずか598で、6月初旬にピークをつけた9万6000以上から減少している。

キューの縮小により、ネットワークに新しいバリデーターを追加する際に予想される待ち時間が12日の時点で5時間未満に短縮された。これは、ネットワークのネイティブトークンであるイーサリアム(ETH)のステーキング需要が大きく高まったことで新しいバリデーターが45日間の待機を余儀なくされた時期と比較すると顕著な減少だ。

イーサリアムブロックチェーンのルールでは、ブロックチェーンの「エポック」ごと、つまり約12秒ごとに追加できる新しいバリデーターの数が制限されている。

バリデーターは、イーサリアムをロックアップ(ステーキング)することで、プルーフ・オブ・ステークのブロックチェーンの維持とトランザクション(取引)の検証に参加する。バリデーターは労力と引き換えにステーキング報酬を受け取る。

シャペラのアップグレードにより、ステーキングされたイーサリアムの引き出しが初めて可能になり、投資家にとって資金を取り戻せない可能性があるという重大なリスク要因が排除された。このアップグレードを契機に、ステーキングへの資金流入が起きた。

ステーキングの熱狂が冷め始めている

機関投資家向け暗号資産取引所ファルコンX(FalconX)のリサーチ責任者であるデビッド・ローワント(David Lawant)氏は市場レポートで、2022年9月にプルーフ・オブ・ステークに移行したアップグレード「マージ」とシャペラ以来、イーサリアムのステーキングの伸びは「非常に好調」だったが、当初の熱狂は冷め始めていると指摘。「アクティベーションキューが空であることは、ステーキングされたイーサリアムの伸びの鈍化を示す」と指摘した。

アクティベーションを待っているバリデーター数の変化(FalconX)

CoinDeskのComposite Ether Staking Rate(CESR)によると、手数料から収入を生み出すネットワーク活動の鈍化とステーキングをする人の数の増加により、ステーキング報酬は今年これ以前の5~6%から3.5%近くまで大幅に低下した。一方、FRB(米連邦準備制度理事会)がインフレ対策として金利を引き上げたため、短期の米国債利回りは5%を超えた。

ステーキング比率は依然低い

イーサリアムのステーキング比率(ネットワークにステーキングされているイーサリアムの総供給量に対する割合)は今年4月の15%、昨年9月の6.5%から上昇して22%を超えたが、他の人気のあるプルーフ・オブ・ステークのネットワークには依然として及ばない。ステーキング比率はソラナ(SOL)で69%、カルダノ(ADA)で63%、アバランチ(AVAX)で53%となっている。

ラワント氏は、これは主にイーサリアムが「ネットワークリソース」として使用されているためであり、イーサリアムブロックチェーンが「より分散したシェアホルダー基盤」を持っているためだと述べた。

|翻訳・編集:林理南
|画像:validatorqueue.com
|原文:Ethereum Has Nearly Cleared Out Validator Queue, a Sign of Weak Staking Demand