エンタープライズ用途に特化したブロックチェーンサービスで、XRP Ledgerを手がけるリップル(Ripple)は、米ドルに連動した独自のステーブルコインの開発を進める。
「ステーブルコイン市場は現在1500億ドル(約22兆5000億円、1ドル150円換算)を超え、2028年には2兆8000億ドル(約420兆円)を超えると予測されている」「信頼性、安定性、実用性を提供するステーブルコインには明確な需要がある」と同社は声明で述べた。
「今年後半」に発行予定のステーブルコインは「米ドル預金、米短期国債、他の現金同等物に100%裏付けられる」という。まずは同社のXRP Ledgerとイーサリアムブロックチェーンで展開され、イーサリアムブロックチェーンの標準規格ERC-20をベースにする予定だ。
市場を勝ち取る
「差別化要因になると考えているのは、裏付け資産がドルや米国債であるという事実だ。極めて堅固だ」とリップルの最高技術責任者(CTO)、デビッド・シュワルツ(David Schwartz)氏はCoinDeskのインタビューに答えた。
「我々は残されたわずかなシェアを獲得しようとしているわけではない。市場を勝ち取り、長期的に取り組みにしようとしている」
米証券取引委員会(SEC)との法廷闘争を続けている同社がステーブルコイン市場に参入する理由についてシュワルツ氏は、その決断の一端は単純な「お金の問題」にあると語った。
「一端はシンプルに機会を捉えたものだ。成長市場だ」と同氏。
「利子を支払うことのない銀行になれる可能性がある。極めて優れたビジネスチャンスだろう」
またシュワルツ氏は、新しいステーブルコインは、他のチェーンと比較して相対的に利用率が低いXRP LedgerのDeFi(分散型金融)エコシステムに命を吹き込むことができると述べた。
透明性を重視
シュワルツ氏によると、ステーブルコインの発行にあたっては、透明性が重要な焦点になるという。
「できれば一流の会計事務所による公開監査を毎月行う予定だ」「完全な透明性を目指している。これらの問題に対処するために必要なことは何でも行う」
透明性の問題以前に、ステーブルコイン市場の潜在的な成長は、リップルや他のステーブルコイン発行者が不正行為を行うインセンティブを減少させると強調した。
「Tetherの初期には、多くの人はいつ破綻してもおかしくないと予想し、非常に怪しいと感じていた」「だがもはや、顧客のお金を持ち逃げすることは意味がない」
リップルは「わずかな追加収益を得ようとしているわけではない」「我々のバランスシートは盤石だ」とシュワルツ氏は述べた。
同氏は、同社のステーブルコインは主に企業や銀行、「株主や規制当局など」に対して「自分たちの決定の正当性を明らかにしなければならい」組織をターゲットにすると述べた。
こうしたニーズを満たすため、リップルはアメリカの銀行で準備金(裏付け資産)を保有し、同社が言う「コンプライアンス第一主義」をとっていると述べた。
USDCは現在、コンプライアンスを重視するユーザーの支持を得ているが、シュワルツ氏は「勝者がすべてを手にする」環境とは考えていないと続けた。
「もし我々が3番手で、市場が12倍に成長するなら、失敗シナリオではない」「もちろん、我々はそれ以上の結果を出したいと思っているが、失敗シナリオではなく、かなり良い結果だ」
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:Shutterstock
|原文:Ripple, Developer Behind XRP Ledger, Enters Stablecoin Fray vs. Tether, USDC