ブラックロック、グレイスケール、ビットワイズもステーキングを削除──イーサリアムETF申請書類を修正
  • ブラックロック、グレイスケール、ビットワイズは、提案中のスポットイーサリアムETFについて、ステーキングの条項を削除した修正19b-4フォームをSECに提出した。
  • この変更は、規制上の障害を避けるために行われたと思われる。ステーキングは暗号資産の世界では受動的収入の一形態と見なされている。

ブラックロック(BlackRock)、グレイスケール(Grayscale)、ビットワイズ(Bitwise)の3社は5月22日、アメリカ証券取引委員会(SEC)に対し、提案中のイーサリアム(ETH)スポット上場投資信託(ETF)に関する9b-4フォームを修正して提出した。

更新されたフォームはすべて、規制上の障害となっていたと一部で言われている、イーサリアムのステーキングに関する規定を削除している。

ブラックロックは修正後の文書で「この信託、出資者、イーサリアムカストディアン […]、その他この信託に関連する者は、信託のイーサリアムの一部がプルーフ・オブ・ステークの対象となったり、追加のETHを獲得したり、その他の収益を生み出すために使用されたりするような行為に、直接的または間接的に関与しない」としている。

ステーキングとは、ブロックチェーンの運営を支援するために特定の暗号資産(仮想通貨)を一定期間ロックし、報酬を得ることだ。これらの報酬は、暗号資産トレーダーの間では受動的な収入と考えられている。

5月23日の時点で、人気のあるステーキング・サービスのリド(Lido)のデータによると、イーサリアムのステーキングの年率換算利回りはほぼ3%だった。

23日に予想される承認あるいは不承認の決定を前に、イーサリアムETFの発行希望者はほとんどが修正案を提出したことになる。

フィデリティは今週初めに修正したS-1フォームを提出し、ステーキングの計画を取り下げた。その後、ヴァンエク(VanEck)、フランクリン・テンプルトン(Franklin Templeton)、インベスコ・ギャラクシー(Invesco Galaxy)、アーク21シェアーズ(ARK 21Shares)が同様の修正を提出し、ステーキングを削除した。ハッシュデックス(Hashdex)は修正を行っていない唯一の発行体だ。

そのためか、DTCC(Depository Trust & Clearing Corporation:米国証券保管振替機関)はヴァンエクのイーサリアムETFをティッカーシンボル「ETHV」でサイトに掲載し始めた。

20日、ブルームバーグ・インテリジェンス(Bloomberg Intelligence)のシニアETFアナリスト、エリック・バルチュナス(Eric Balchunas)氏とジェームス・セイファート(James Seyffart)氏がETFの承認確率を20%から75%に引き上げたことが、市場全体の急上昇を引き起こした。イーサリアムは17%以上上昇し、ビットコインは4月上旬以来初めて7万1000ドルの大台を回復した。

市場関係者は、以前はイーサリアムETFを承認しないと言われていたSECのトーンが突然変わったと評している。セイファート氏はUnchainedとのインタビューで、この問題は「政治的」になり、決定は「上から、おそらくバイデン大統領から」下されたと語った。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:BlackRock, Grayscale, Bitwise File Updated 19B Forms in Rush for Ethereum ETF