英国、暗号資産の法整備へ前進

英国の上席判事や弁護士からなる委員会は、仮想通貨の法律上の地位を明確化すべく動き出した。

ローテック・デリバリー・パネル(Lawtech Delivery Panel:LDTP)の英ジュリスディクション・タスクフォース(UK Jurisdiction Taskforce)は2019年11月18日(現地時間)、法的声明を発表し、暗号資産をイングランドとウェールズの法律における「取引可能な財産」と認めた。この声明はまた、スマートコントラクトをイングランドの法律の下での「法的強制力のある合意」と定義した。

政府の支援を受けたLTDPは、技術を通じたイギリスの法律セクターの変革を支援するために設立された業界主導の取り組みである。英ジュリスディクション・タスクフォースは、その傘下にある6つの委員会の1つであり、英高等法院の大法官、サー・ジェフリー・ヴォス(Sir Geoffrey Vos)氏が委員長を務め、金融行動監視機構(Financial Conduct Authority)の役員であるクリストファー・ウーラード(Christopher Woolard)氏や、高等法院判事のサー・アントニー・ザカローリ(Sir Antony Zacarol)氏もメンバーに含まれている。

ヴォス氏は今回の声明を「重要な分岐点」と呼び、数多くの「難しい法律上のトピックに非常に親しみやすく理解できる方法」で取り組んでいると語った。ヴォス氏によれば、タスクフォースは「国際的金融サービス業界やそれ以外の業界での暗号資産とスマートコントラクトの開発と利用の成功に必要不可欠な領域におけるイングランドのコモン・ローに関し、非常に必要とされている市場の信頼と、法的確実性を提供する」ための取り組みに着手した。

今回の声明は、イギリスにおける暗号資産とスマートコントラクトが一般に普及するための安定した土台を提供し、仮想通貨業界で事業を行う企業の後押しになる可能性もあると期待されている。

プレスリリースの中でタスクフォースはさらに、スマートコントラクトの秘めた重要性を説明し、次のように述べている。

スマートコントラクトは、関係者間のコントラクトの実行(およびその遂行の自動化)のより安全でより効率的な方法を生み出すために利用することが可能である。スマートコントラクトは取引を自動的に実行し、仲介業者が要らなくなるため、抵当から医学研究、土地の所有権までに大変革をもたらす可能性がある」

声明は、「テクノロジーのコミュニティ」と金融サービスセクター、ならびに規制当局や法律の専門家との協議の後に最終的にまとめ上げられた、とサー・ヴォス氏は述べた。

この先、暗号資産の分野において、なんらかの立法が「望ましい」かどうかを法律の委員会が検討すると、ヴォス氏は述べた。

翻訳:山口晶子
編集:T. Minamoto
写真:Shutterstock
原文:UK Law Panel Defines Crypto Assets as Property