フィデリティ子会社、年内に仮想通貨取引所と初契約へ

フィデリティ子会社、年内に仮想通貨取引所と初契約へ

Brady Dale
公開日:2019年 11月 24日 08:00
更新日:2019年 11月 24日 08:00

金融サービス大手フィデリティ(Fidelity)の子会社で、仮想通貨取引事業を行うフィデリティ・デジタル・アセット・サービス(Fidelity Digital Asset Service:FDAS)は、今年中に最初の取引所と契約を結ぶ見込みだ。同社社長のトム・ジェソップ(Tom Jessop)氏が語った。

FDASは仲介業者として、機関投資家が様々なところでビットコインを売買する際に最善の取引ができるよう支援する。これまでのところ、その相手はすべて店頭取引(OTC)トレーディングデスクであった。

「5カ月前に取引プラットフォームを立ち上げてから年末までで、リクイディティ・プロバイダ-の数が2倍以上になります」とジェソップ氏はCoinDeskに語ったが、具体的な数字に言及することは控えた。「OTCリクイディティ・プロバイダ-に主に焦点を当てています。年末までにおそらく最初の取引所とつながることになるでしょう」

この動きはおそらく、FDASにより幅広い市場と小規模トレーダー向けのリクイディティへのアクセスを与えることになるだろう。OTCデスクは主に、より大規模な機関投資家や大金を投じる大口投資家と取引をする一方、取引所は個人投資家や、より小規模な機関投資家にサービスを提供する。

「OTCデスクは、より関係性がものを言い、より大きなブロック取引のために利用されることが主だが、取引所はより小口の注文を扱い、総合的なものです」と、企業向け取引ツールを提供するトレードブロック(Tradeblock)のリサーチ担当ディレクター、ジョン・トダロ(John Todaro)氏は語った。

フィデリティ・インベストメント(Fidelity Investments)の子会社であるFDASは、インターコンチネンタル取引所(Intercontinental Exchange)が2019年にローンチしたビットコイン先物市場のバックト(Bakkt)と並んで、ウォール・ストリートと仮想通貨のワイルドな世界の架け橋になることを試みる企業の1社である。

大胆な挑戦である。例えば、取引所よりもOTCデスクの方が、仲間に引き入れるのがより簡単であることを、FDASは知ることになった。

「厳しいリスクマネジメントやオンボーディングプロセスを含む、相手方への評価に、我々は非常に高い基準を用います」と同社広報担当者は語った。「このアプローチは、取引所と仕事をするよりも、取引後の決済がより容易なOTCデスクに適用することのできているものです」

ニューヨーク州を皮切りに、2020年の計画

FDASは今週、ニューヨーク州金融サービス局から信託有限会社としての認可を勝ち取った。これは、FDASにニューヨークの顧客を迎え入れることを可能にし、信託ライセンスを有するカストディアンを探している受託者を顧客とする同社に対して、信用性をもたらすものだ。

ニューヨークの顧客の名についてジェソップ氏は明かそうとしなかったが、ギャラクシー・デジタル(Galaxy Digital)は先日、2つの新しいビットコインファンドのカストディアンとしてFDASとバックトを利用すると発表している。他のニューヨークの顧客は、この先5〜6週間でオンボードされることになる、とジェソップ氏は語った。

FDASは、ヘッジファンド、ファミリーオフィス、投資アドバイザー、アメリカを拠点とした小型の年金基金を含む多様な顧客ベースを抱えている、とジェソップ氏は語った。「この(年金ファンド)分野への関心はあります」

「ここ1年間で、関心の高さと、この資産クラスを理解しようという人々の努力に驚かされてきました」とジェソップ氏は述べた。

FDASはニューヨークの顧客をオンボードした後、2020年には新しい資産のオンボード、トレーディング能力の開発、事業の拡大、そして現在事業を行なっていない州でのライセンス獲得を始める計画だ。

フィデリティは株式非公開の企業であり、短期的見返りを心配することなく、革新的な技術で実験を行うことが可能となってきた。研究開発部門であるフィデリティ・センター・フォー・アプライド・テクノロジー(Fidelity Center for Applied Technology:FCAT)は、ビットコインのマイニングも含め、仮想通貨分野を綿密に研究してきた。

セキュリティトークン・ファシリテーターのトークンソフト(Tokensoft)の運用担当責任者ローソン・ベイカー(Lawson Baker)氏のミディアム(Medium)への投稿によれば、FCATは最近、トークンソフトとともに概念実証を完了させた。

デジタル資産とブロックチェーンに特化したFCAT内部のラーニンググループ「ビッツ・アンド・ブロックス・クラブ(Bits and Blocks Club)」は、イーサリアム上で制限付きのERC-1404トークンをローンチした。このトークンは、「従業員が社内イベントやその他のアクティビティに参加することを促すために設計された閉ループ報酬システム内で(中略)フィデリティ従業員が利用した」

「スイスの銀行から、フィデリティのような金融機関のイノベーションラボまで、セキュリティトークンやその他の金融資産の機関投資向けの市場に弾みが見られるとトークンソフトは考えています」とベイカー氏はメールの中で語った。「我々はこの傾向が、2020年の第1四半期に、登録済みとなる可能性のある商品を持った顧客が市場に登場し、本当に顕著になるものと考えています」

翻訳:山口晶子
編集:T. Minamoto
写真:Tom Jessop, president of Fidelity Digital Assets
原文:Fidelity Digital Assets to Sign Up Its First Crypto Exchange by End of the Year