暗号資産マイナー株、オープンAIとコアウィーブの契約締結を受けて急騰
  • コアウィーブ(CoreWeave)とオープンAI(OpenAI)の40億ドルの契約締結により、暗号資産(仮想通貨)と関係のあるデータセンター関連銘柄が20%も上昇した。
  • ギャラクシー・デジタル(Galaxy Digital)はナスダックデビューで8%上昇、コインベース(Coinbase)はデータ流出と米証券取引委員会(SEC)による調査のニュースを受けた売りから反発した。
  • インフレ期待が数十年ぶりの高水準に達し、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げへの期待が後退するかもしれない。

暗号資産は5月16日、平坦なパフォーマンスを示し、ビットコイン(BTC)は10万4000ドル前後で推移しているが、暗号資産関連銘柄は好調だ。

サイファー・マイニング(Cipher Mining)、ハイブ・デジタル(Hive Digital)、ハット・エイト(Hut 8)、テラウルフ(TeraWulf)などの暗号資産マイニングおよびデータセンター企業は、コアウィーブがChatGPT開発企業のオープンAIと40億ドル(約5840億円、1ドル=146円換算)の契約を締結したことで、人工知能(AI)コンピューティング需要に対する楽観的な見方が広がり、10%~20%の上昇を記録した。これらの企業はデータセンター資産を持つため、AIに関連したインフラ投資の代理と見なされることが多い。

コアウィーブ株は、26%以上急騰した。

ラリーは待望の米国市場デビューを果たしたギャラクシー・デジタルにも広がり、同社株はナスダック取引初日に8%上昇した。

これまでトロント証券取引所にのみ上場していた同社は、暗号資産投資の管理とデジタル資産の取引を行い、データセンター事業も行っている。

暗号資産取引所コインベースは、15日に発表された顧客データ流出と米国証券取引委員会(SEC)による調査の継続をきっかけに急落した後、9%反発した。

不動産テック企業でソラナ(SOL)財務戦略を採用する不動産ハイテク企業DeFiディベロップメント(DeFi Development)の株は、ミームコインBONKとバリデーター共同運用契約を締結し、SOLを追加購入したとのニュースを受けて45%急騰し、過去最高値を更新した。

一方、ビットコインは24時間で1.3%上昇し、10万4000ドルをわずかに上回った。イーサリアム(ETH)は2.3%上昇し、2580ドルとなった。広範な暗号資産市場のベンチマークであるCoinDesk 20 Indexは横ばいで、エックス・アール・ピー(XRP)は、米判事がリップル(Ripple)社とSECの和解案を却下したため、アンダーパフォームした。

インフレ期待が急上昇

マクロ面では、ミシガン大学の最新のインフレ調査によると、消費者の1年間のインフレ期待値が6.5%から7.3%に上昇し、1980年代以来の高水準となる一方、5~10年間の期待値は4.6%に上昇し、数十年ぶりの高水準となった。

「あまりに高く、意味がわからない」と、マネー・マネージメント会社ナベリエ(Navellier)の最高投資責任者ルイス・ナベリエ(Louis Navellier)氏は述べた。

回答は、支持政党によって大きく異なっており、共和党支持者はインフレ率がはるかに低いとの見通しを示している。その結果、伝統的市場はこのデータを受け流し、米国の主要株価指数は後場にかけて上昇した。

しかし、インフレ期待の高まりは、FRBに今後数カ月間の利下げを思いとどまさせることで、市場に二次的な影響を与える可能性がある。

「ここで懸念されるのは、FRBが消費者のインフレ期待に関心を示し、関税がインフレを引き起こす可能性を懸念していることだ。FRBにさらに立ち止まる理由を与えるかもしれない」と、ナベリエ氏は指摘した。

|翻訳・編集:山口晶子
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|原文:Crypto Miners Soar on OpenAI-CoreWeave Deal; Galaxy Jumps in Nasdaq Debut