ステーブルコイン追い風の中、トランプ大統領が関連事業の株式を売却した可能性

- ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の家族は、暗号資産(仮想通貨)事業であるワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLFI:World Liberty Financial)の株式保有比率を、同ウェブサイトで開示されている過半数の60%から40%に減らした可能性がある。
- WLFIが運営するようなステーブルコインを対象とした規制法案の可決に向けて米国上院が準備を進めていたタイミングで、この変更が注目された。
上院が超党派の広い支持を集めた規制法案が可決され、ステーブルコインは米国の政策関係者の間で注目を集めている。そのような中、ドナルド・トランプ大統領とその家族は、独自のステーブルコインをはじめとした暗号資産を取り扱う事業であるワールド・リバティ・ファイナンシャルを運営する親会社の株式約20%を売却した模様だ。
DT Marks DEFI LLCは、WLFIの持ち株会社の株式を約40%保有しており、この比率は以前60%であった。この情報は、同プラットフォームのウェブサイト下部にある法的開示情報による。 DT Marks DEFIは「ドナルド・J・トランプ氏とその家族の一部と関係のある組織」であると説明されている。
トランプ氏の暗号資産取引は広範囲に及び、少なくとも数千万ドルの直接的な利益を得たと報じられているが、米国におけるデジタル資産規制をめぐる議論においても中心的な役割を担っている。現在下院で審議中のステーブルコイン法案は、民主党がトランプ氏自身のステーブルコイン事業について問題としたため、上院で一時的に停滞していた。
エリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員、リチャード・ブルーメンソール(Richard Blumenthal)上院議員、クリス・マーフィー(Chris Murphy)上院議員といった議員たちからの汚職疑惑や、大統領が自身の事業に関する規制に介入するのは不適切だという主張があるにもかかわらず、この法案の進展により、ワールド・リバティ・ファイナンシャルの米ドルと連動するステーブルコインは、同社が厳格な準備金および監督要件を遵守する体制を整えていることを前提とすれば、より安定した事業基盤を獲得する可能性がある。
トランプ大統領の政界人脈および政権は、同氏のビジネス関係は透明だと主張しているが、一族による暗号資産取引は依然として不透明で、大統領本人を含む個々のメンバーの事業権益は完全には開示されていない。一族がワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLFI)において具体的にどのような所有権や経営に関与しているのかは依然として不明である。
WLFIとトランプ大統領の事業関係者からは、CoinDeskによるコメント要請に対する回答を即時に得られなかった。
そして、同氏の暗号資産との結びつきの深まりはこれにとどまらない。トランプ大統領は最近、自身のミームコインに対する主要投資家のためにプライベートディナーを主催したことで、多くの批判を浴びている。投資家の多くは外国人で、身元は公表されていない。かつて暗号資産に懐疑的だったトランプ大統領は、複数回にわたり非代替性トークン(NFT)を売却している。また、同氏のメディア企業は今年、ビットコインの資金庫を構築するために25億ドル(約3625億円、1ドル=145円換算)を調達すると発表した。さらに、息子のエリック(Eric)氏は新たなビットコインマイニングベンチャーの運営を支援している。大統領が密接な関係を持たないものを探す方が難しそうだ。
|翻訳・編集:T.Minamoto
|画像:Jesse Hamilton/CoinDesk
|原文:Trumps May Have Sold Platform Stake as U.S. Stablecoins See Wave of Good News