サークル株、15%下落──BISがステーブルコインのリスクを警告

- サークル(Circle)の株価は6月24日、5%下落し、23日に記録した史上最高値から25%下回って取引されている。
- 国際決済銀行(BIS)の新たな報告書は、規制のない状態での金融安定性や通貨主権へのリスクを指摘し、ステーブルコインを批判している。
- 下落にもかかわらず、サークル社の株は今月初旬のIPO価格から600%以上高い水準で取引されている。
ステーブルコイン企業サークルの株価の急騰が、ある程度落ち着く兆候を見せている。
6月23日に299ドルの史上最高値を記録した同社の株価は、24日に15%下落し、ピーク時から約25%安と後退が拡大している。しかし、223ドルで取引されている現在でも、今月初旬に行われたIPO価格からは600%以上高い水準を維持している。
一部のアナリストはすでに、サークル社の株が同業他社と比べて過大評価されていると指摘し、アーク・インベスト(Ark Invest)はIPO以来、継続的に3億ドル(約435億円、1ドル=145円換算)相当を超える株式を売却しており、株価の下落は驚くべきことではなかった。
しかし、24日の下落は、中央銀行がメンバーとなっている金融機関である国際決済銀行(BIS)がステーブルコインの将来について新たな懸念を表明したタイミングと重なった。
BISは24日のプレスリリースで、「ステーブルコインは健全な通貨としては不十分であり、規制がなければ金融の安定性と通貨主権にリスクをもたらす」と主張した。
BISは、ステーブルコインは中央銀行通貨との1対1の交換比率を保証できず、ストレス下での流動性への対処に苦戦する可能性があり、金融犯罪防止に必要な統制が欠如していると主張した。
BISは代わりに、中央銀行の準備金、商業銀行マネー(商業銀行の預金)、国債のトークン化を「金融イノベーションの次の論理的なステップ」として推進した。
「適切に規制されれば、ステーブルコインはゆくゆくは、金融システムの周辺部で補助的な役割を果たす可能性がある」とBISは主張し、さらに「暗号資産エコシステムへの玄関口としての役割以外に、その将来の役割は不明確だ」と付け加えた。
これらの指摘は、支払いや越境取引などの日常的な用途においてステーブルコインが急速に成長し、世界中の管轄区域がステーブルコインに対する規制を推進している中で行われた。
ストライプ(Stripe)、マスターカード(Mastercard)、ペイパル(PayPal)などの決済企業は、伝統的な銀行システムを補完する様々なステーブルコインベースのサービスを開発している。ビザのデータによると、過去30日間でステーブルコインは4兆ドル(約580兆円、1ドル=145円換算)の取引を処理した。
サークル社はUSDコイン(USDC)の発行元である。USDCは時価総額610億ドルと、テザー(Tether)社の時価総額1560億ドルのUSDTに次ぐ市場第2位のステーブルコインである。サークル社は4月、決済と送金のためのネットワークを立ち上げ、最終的にはマスターカードやビザのような既存の大手と競合することを目指している。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:サークルのCEO、ジェレミー・アレール(Jeremy Allaire)氏(Danny Nelson/CoinDesk)
|原文:Circle Drops 15%, Stock Frenzy Cools as BIS Warns of Stablecoin Risks