暗号資産の金商法移行、委員から「親和性あり、妥当」の声──金融庁、金融審議会総会を開催
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栃山直樹

金融庁は6月25日、金融審議会総会を開催した。
同総会では、加藤勝信金融担当大臣からの検討要請を受け、暗号資産(仮想通貨)の規制を現行の資金決済法から金融商品取引法(金商法)へ移行する案について、法改正に向けた本格的な審議が始まった。
会議では、この要請を受けて専門的な議論を行うための「暗号資産制度に関するワーキンググループ(WG)」を設置することも決定された。
議論の土台となるのは、今年4月10日に公表されたディスカッション・ペーパー。これに対して寄せられたパブリックコメントについて、金融庁の担当者は「概ね方向性について賛同いただいている」と報告した。
>説明資料:暗号資産を巡る制度のあり方に関する検討について
出席した委員からは、金商法への移行を支持する声が上がった。
川口恭弘委員(同志社大学法学部教授)は、金融庁が示した方向性について「暗号資産が抱える課題は伝統的に金商法で対処してきた問題と親和性があるとはその通りかと思う。金融審議会のワーキングで検討されることは適切」と述べ、議論の開始を歓迎した。
一方で、野澤康隆委員(浜銀総合研究所代表取締役会長)からは税制をめぐる懸念として「結果として(暗号資産を取引する)富裕層が一番得をしてしまうということにならないのか、税の不公平が促進されてしまうことがないのか」といった課題も指摘され、今後のワーキンググループで多角的な検討が求められる。
今後、新設されるワーキンググループで詳細な制度設計の議論が進められ、年内にも報告書が取りまとめられる見通し。来年の通常国会での法改正案提出が視野に入る。
|文:栃山直樹
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