BTC、ETH、SOL、XRPのETFが過去最高の運用資産残高に──トレーダーらは「夏の停滞」に警戒
  • アメリカの関税の脅威による市場の変動にもかかわらず、ビットコインは10万8700ドル付近で安定を維持している。
  • 暗号資産ETFへの資金流入が続いており、ビットコインが大部分を占めていることは投資家の信頼感を示している。
  • ビットコインのオンチェーン活動と取引量は約2年ぶりの低水準にあり、市場の疲弊の可能性を示唆している。

ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が引き起こした新たな貿易摩擦により、伝統的な市場が反落する中、ビットコイン(BTC)は10万8700ドル近くで堅調に推移している。トランプ大統領は、技術規制をめぐる欧州連合(EU)との摩擦を理由に、輸入関税を最大50%引き上げる計画を示した。

この発言により、アジアの株式は4営業日連続で下落し、ロンドンの銅先物も下落、アメリカの株式先物も下落に転じた。

しかし、ビットコインは概ね影響を受けておらず、暗号資産(仮想通貨)投資家はマクロ経済のノイズを無視しているか、BTCが世界的な政策リスクからますます隔離されていると捉えているとの見方もある。

「トランプ氏の関税計画を受けたビットコイン価格の小幅な下落は、暗号資産の回復力と長期投資家の信頼を浮き彫りにしている」と、ハッシュキー・キャピタル(HashKey Capital)のハン・シュー(Hang Xu)氏はテレグラムのメッセージで述べた。「短期的にボラティリティが高くなっても、この傾向が続くと楽観視している」。

それでも、この水準では明確な躊躇が見られる。

「買い手は迅速に利益確定を進めている」と、FxProのチーフ市場アナリスト、アレックス・クプツィケビッチ(Alex Kuptsikevich)氏は指摘した。「BTCは11万ドル近辺で押し下げられ続けており、50日単純移動平均線(SMA)が値下がり買いを引き寄せているものの、売り手も同様に活発だ」

彼はさらに、全体の市場資本額は前週比1.8%増ながら、過去24時間で0.6%下落して3兆3500億ドル(約469兆円、1ドル=145円換算)となり、高値圏での「優柔不断な動き」が再び示されていると付け加えた。

暗号資産ETF(上場投資信託)への資金流入が続く中でも、この乱高下は続いている。コインシェアーズ(CoinShares)は、12週連続の純流入を報告し、先週は暗号資産ファンドに約10億ドル(約1450億円)が流入し、そのうち7億9000万ドル(約1145億5000万円)以上がビットコインETFへの流入だった。

イーサリアム(ETH)連動商品には2億2600万ドル(327億7000万円)、ソラナ(SOL)には2200万ドル(約31億9000万円)、エックス・アール・ピー(XRP)には1100万ドル(約15億9500万円)が流入した。ETFの総運用資産は過去最高の1880億ドル(約27兆2600億円)に達した。

しかし、表面下では疲労の兆候が見られる。The Blockによると、ビットコインのオンチェーン活動とインプライド・ボラティリティは、ほぼ2年ぶりの最低水準に低下した。

グラスノード(Glassnode)はこれを「夏の停滞期(Summer Lull)」と表現し、取引量の急落や長期保有者への未実現利益の集中を指摘した。これらは、センチメントが変化した場合に急激な動きを引き起こす要因となる可能性がある。

モメンタムの欠如にもかかわらず、市場は依然としてリスクオンの姿勢を堅持しているものの、神経質にはなっているようだ。

「資金は200日SMAから引き続き離れており、これは市場が依然として強気傾向にあることを示している」とクプツィケビッチ氏は付け加えた。「しかし、少しでも市場心理が変化しれば、利益確定売りが急増する可能性がある」。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin, Ether, Solana, XRP ETFs See Record AUM as Traders Warn of ‘Summer Lull’