ビットコインのドミナンス、過去3年で最大の低下──アルトコインとの相関性が弱まる
  • 暗号資産市場におけるビットコインのドミナンスは、過去1週間で5.8%低下し、3月以来の最低水準になった。
  • 暗号資産全体の時価総額は約3兆8000億ドル(約558兆6000億円、1ドル147円換算)に増加し、イーサリアムなどのアルトコインが成長を牽引。
  • ビットコインとアルトコインの相関関係の低下は、市場ボラティリティの上昇や強制清算の可能性を示唆。

ビットコイン(BTC)のドミナンスが大きく低下し、トレーダーがより広範な暗号資産市場に注目する傾向が強まっていることを示している。

データソースのTradingViewによると、暗号資産市場全体の時価総額におけるビットコインのシェアを示すドミナンスは、過去1週間で5.8%低下して61%をわずかに下回り、3月以来の最低水準となった。これは2022年6月以来最大の低下だ。この指標は先月末に66%近くまで上昇していた。

一方、暗号資産全体の時価総額は3週間で3兆ドル(約441兆円)から約3兆8000億ドル(約558兆6000億円)に増加し、ビットコインの市場シェアが低下する中、イーサリアム(ETH)などのアルトコインが上昇を牽引している。

つまり、最近ではビットコインよりもアルトコインに投資を続けるほうが利益が上がっているということだ。さらに、ビットコインが12万ドルを下回る水準で強気相場の小休止に入ったことで、アルトコインとの正の相関関係は大幅に弱まっている。Alphractalの調査によると、これは歴史的にボラティリティの上昇やレバレッジをかけた投資の強制清算の前兆となるパターンだという。

「注目すべきチャートが一つあり、それは相関ヒートマップだ。これによると、アルトコインとビットコインの平均相関が急速に低下しており、マイナスに転じる可能性さえある。言い換えれば、アルトコインはビットコインの動きに追随していないということだ。歴史的に、相関の低下は危険信号だ。これは、ボラティリティが上昇し、ショートポジションであれロングポジションであれ、大量の清算が行われる期間に先行することが多い」とAlphractalはテレグラム(Telegram)のチャットで述べた。

[ビットコインのドミナンス(TradingView)]

BTC上昇でユニットバイアスに注目集まる

ユニットバイアスとは、たとえ2つの資産が絶対値で同じ値を表すとしても、投資家が資産の小数点以下または少数の単位よりも、単位全体または多数の単位を保有することを好む認知バイアスだ。

つまり、ビットコインが記録的な高値で高価になるにつれ、市場への新規参入者や経験の浅い投資家は、時価総額や流通供給量を無視して、単価の安さを手頃さや高い成長可能性と同一視し、より安価なトークンへとシフトしていく。

1エックス・アール・ピー(XRP)や1ドージコイン(DOGE)を保有するほうが1BTCを保有するよりも良いというこの錯覚は、資本がアルトコイン、特に低単位のミームコインに移動することにつながり、最近見られるようにビットコインのドミナンスを低下させている。

|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:Mediamodifier/Pixabay
|原文:Bitcoin’s Dominance Slides by Most in 3 Years as BTC’s Correlation With Altcoins Weakens