ビットコインは11万5000ドルへの回復に苦戦──アルトコインの季節は終わった?

- ビットコインは急落後も11万5000ドルを下回ったままで、10億ドルを超える清算がレバレッジをかけたロングポジションに影響を与えている。
- イーサリアムは機関投資家の継続的な関心により、3650ドルに向けて回復を見せており、ソラナやXRPといった低迷するアルトコインとは対照的だ。
- マクロ経済の不確実性とETFからの資金流出により市場センチメントは脆弱だが、一部のアナリストは状況が安定すれば反発の可能性があると見ている。
ビットコイン(BTC)は、週末の急落で最高値から6000ドル近く下落し、レバレッジをかけたロングポジション全体で10億ドル(約1450億円、1ドル=145円換算)以上の清算を引き起こした後、11万5000ドルを下回ったまま推移している。
暗号資産(仮想通貨)市場は月曜日以降やや安定しているものの、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領による新たな関税措置と、ETF(上場投資信託)への資金流入の不安定さが続く中、センチメントは依然として脆弱だ。
BTCは火曜日のアジア取引時間午後に11万4200ドル付近で取引され、終日横ばいとなったものの、過去2週間の短期サポートとして機能してきた重要なレンジである11万5000ドルから11万8000ドルを下回っている。
イーサリアム(ETH)はやや持ち直し、週末に3550ドルを下回った後、機関投資家の継続的な関心と堅調な資金流入に支えられ、3650ドルに向けて回復している。
「ビットコインは11万5000ドルを超える回復には至っていないが、イーサリアムは今週の最高値をほぼ回復した」とLVRGリサーチ(LVRG Research)のディレクター、ニック・ラック(Nick Luck)氏はCoinDesk宛のメモで述べた。
「財務戦略、IPO、そして次なるストラテジー(Strategy)の探究が需要を刺激している。強気相場は今後も続くと楽観視している」とラック氏は付け加えている。
アルトコインの季節は終わった?
一方、アルトコインは苦戦している。ソラナ(SOL)は先週の高値から20%近く下落し、エックス・アール・ピー(XRP)は市場全体の安定化にもかかわらず3ドル付近で横ばいとなっている。「アルトコインの季節」が迫っているという俗説は弱まり、トレーダーは主要コインに資金を戻したり、完全に傍観したりしている。
リスクオフムードの一部は、金曜日に発表されたアメリカの雇用統計が予想を下回ったこと、そしてワシントン発の新たな貿易摩擦に起因している。その結果、世界市場で安全資産への逃避が広がり、暗号資産もその渦中に巻き込まれている。
金曜日はビットコイン現物ETFからの流出額が過去2番目に多い日となり、イーサリアムも過去4番目に大きな流出を記録し、機関投資家からの資金流入が短期的な価格サポートを提供するという期待を薄れさせた。
しかし、市場がすべて弱気になっているわけではない。QCPキャピタル(QCP Capital)は月曜日のメモで、より広範な市場構造は依然として強気だと指摘した。
同社は顧客向けメモの中で、「最近のドローダウンは、投機的というよりは調整的な動きのように見える」と述べた。同社は、BTCオプション市場における取引の増加、特に2025年8月29日のコールオプションが12万4000ドルを目標としていることを、熟練したプレーヤーが反発に向けてポジションを取っている兆候だと指摘した。
プット・スキューは依然として高い水準にあるが、まだパニックを誘発する兆候にはなっていない。QCPは、11万5000ドルを上回った場合、ETFの流入増加とインプライド・ボラティリティ(IV)の低下が相まって、センチメントが急速に反転する可能性があると述べている。
それまでは、トレーダーはETFの流入データを注意深く監視しているだろう。機関投資家の需要が安定し、マクロ経済の不安が和らげば、今週の調整局面は、新たな高値に向けて再び上昇する土台となる可能性がある。
ただし、資金流出が続き、リスク許容度が低下し続ける場合、特に代替資産において、市場は真の底打ちを見る前に、さらなるリスク回避局面を迎える可能性がある。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Struggles to Hold $115K; Solana, Dogecoin Show Relative Strength as Risk-Off Sentiment Lingers