米財務長官が日銀の利上げを予測──円はビットコインとドルに対して上昇

- アメリカのベッセント財務長官が日銀が利上げに踏み切る可能性が高いと述べたことを受け、円はドルとビットコインに対して上昇した。
- ベッセント長官は、植田日銀総裁の慎重な利上げ姿勢とは対照的に、日銀はインフレ抑制策が後手に回っていると批判した。
- 円はもはや最も魅力的な資金調達通貨ではなくなっている。
アメリカのスコット・ベッセント(Scott Bessent)財務長官が、日本銀行はインフレ対策で後手に回っており、おそらく利上げを余儀なくされるだろうと述べたことを受け、円はドルとビットコイン(BTC)に対して上昇した。
ベッセント長官はブルームバーグTVのインタビューで、「日本はインフレ問題を抱えている。(中略)彼らはインフレ対策で後手に回っているため、利上げに踏み切るだろう。そして、インフレ問題をコントロールする必要がある」と述べた。
ベッセント長官の見解は、日銀の植田和男総裁の見解とは対照的だ。植田総裁は総合インフレ率が3%を上回っているにもかかわらず、国内需要と賃金の強さに焦点を当てた基調的なインフレ率が、日銀の目標である2%に依然として達していないことを理由に、利上げペースを緩やかに進めることを正当化している。7月、日銀は政策金利を0.5%に据え置き、今後の動向については何も示唆しなかった。
トランプ政権は数カ月にわたり、円安を食い止め、日米の金利差を縮小するため、日本に対して金融引き締め政策の実施を求めてきた。フィナンシャル・タイムズによると、米財務省は6月に公表した報告書の中で、日銀に対し、二国間貿易の構造的リバランスの一環として、経済成長、インフレ、そして円安ドル高の正常化に重点を置くよう求めた。
ベッセント氏の発言を受け、円は全面高となった。ビットフライヤー(BitFlyer)上場のBTC/JPYは1.7%下落し、1784万5432円となった。これは、12万1650ドルまで下落したコインベースのBTC/USDよりも大きな下落幅だ。TradingViewのデータによると、ドル円(USD/JPY)は3日続落し、3週間ぶりの安値(円高)の146.21円を記録した。
リスクオフの到来か
トレーダーは歴史的に、高利回り経済圏の資産購入のためのキャリー通貨として円を利用してきた。つまり、日本の低金利を利用して円を借り入れ、より高い利回りの資産を購入することで、その差額から利益を得てきたのだ。そのため、円高は金融市場におけるリスク回避への懸念をしばしば引き起こす。
バノックバーン・グローバル・フォレックス(Bannockburn Global Forex)のチーフ市場ストラテジスト、マーク・チャンドラー(Marc Chandler)氏によると、もはやそうではないかもしれないという。
リスクオフは、円のショート、ブラジルレアルのロングといった資金調達取引の解消によって生じることが多い。しかし、円は現在、最も魅力的な資金調達通貨ではないかもしれない。
「スイスの政策金利がゼロであるだけでなく、円のボラティリティも高まっている」とチャンドラー氏はCoinDeskへのメールで述べた。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Yen Rises Against Bitcoin, Dollar as Scott Bessent Predicts Bank of Japan Rate Hike