- ジェミナイがGEMIのティッカーシンボルで上場準備を進める中、ナスダックが5000万ドルを投資する見通しだとロイター通信が報じた。
- この取引には、ジェミナイのカストディおよびステーキングのサービスと、ナスダックのプラットフォーム「カリプソ」における担保管理機能を互いの顧客が利用できるようになることが含まれる。
- ジェミナイがIPOを実施した場合、コインベースとブリッシュに次ぐアメリカで3番目の上場暗号資産取引所となる。
キャメロン・ウィンクルボス(Cameron Winklevoss)氏とタイラー・ウィンクルボス(Tyler Winklevoss)氏が設立した暗号資産(仮想通貨)取引所ジェミナイ(Gemini)は、上場先兼投資家としてナスダック(Nasdaq)と提携し、上場準備を進めている。ロイター通信が報じた。
報道によれば、ナスダックは新規株式公開(IPO)に関連する私募を通じて、5000万ドル(約73億円、1ドル145円換算)のジェミナイ株を購入することで合意した。
この取引は単なる資金調達を超えるもののようだ。
ナスダックの顧客がジェミナイのカストディおよびステーキングのサービスにアクセスできるようになるほか、ジェミナイの機関ユーザーがナスダックのマルチアセット取引・リスク管理プラットフォームであるカリプソ(Calypso)システムの機能を利用できるようになる。特に、ジェミナイの機関顧客は、取引活動のための証拠金の追跡・管理を支援するカリプソの担保管理機能にアクセスできる。
ジェミナイは12日にGEMIのティッカーシンボルでナスダックに上場することを目指しているが、市場状況によってはスケジュールに変更が生じる可能性があるとロイター通信は報じた。
今回のIPOは、アメリカの株式資本市場の回復局面を背景に行われるもので、フィグマ(Figma)などの銘柄の初日の好調を受けてより多くの未上場企業が投資家の意欲を試す動きを見せているとロイター通信は指摘した。ここ数カ月に暗号資産関連銘柄も活況を呈している。その中には、IPOで機関投資家の大きな需要を集めたサークル(Circle)やブリッシュ(Bullish)も含まれる。
上場が実現すれば、ジェミナイは今年暗号資産取引プラットフォームとして初めてS&P500に組み入れられたコインベース(Coinbase)、ブリッシュに続くアメリカで3番目の上場暗号資産取引所となる。
欧州での拡大
アメリカでの上場計画に加え、ジェミナイは欧州でもプレゼンスを強化している。9月5日のブログ投稿で、ジェミナイは欧州連合(EU)および欧州経済領域(EEA)の4億人を超える投資家向けに一連の新商品を発表した。
この展開には、イーサリアム(ETH)とソラナ(SOL)のステーキングサービス、そしてジェミナイ永久先物(Gemini Perpetuals)の開始が含まれる。ジェミナイ永久先物は規制下にあるデリバティブ商品で、顧客は最大100倍のレバレッジで満期が設定されていない無期限契約を取引できる。どちらの商品も欧州の規制枠組みの下で提供される。ステーキングはジェミナイが新たに設立した暗号資産市場規制(MiCA)承認済みのマルタ法人による監督で、デリバティブ取引は伝統的金融市場を管理するMiFID II(第2次金融商品市場指令)規則の対象となる。
ジェミナイの欧州担当CEOであるマーク・ジェニングス(Mark Jennings)氏は、同社の目標は安全かつ使いやすいプラットフォームを通じてステーキングやデリバティブ取引を利用できるようにすることだと述べた。
ジェミナイによれば、ステーキングサービスは柔軟なプールに対応しており、最低入金額なし、1日単位の報酬蓄積、ソラナで最大6%の年換算利回りとなっている。
永久先物契約に関しては、すでに現物アカウントにある資産を担保にでき、USDコイン(USDC)建てで、現物取引と同じインターフェースで管理できることが強調された。
ジェミナイはこの動きを、欧州を同社の事業の基盤とするためのより広範な戦略の一環と位置付けている。MiCAの導入は、EUに暗号資産規制で世界をリードするチャンスをもたらし、30の管轄区域すべてにわたって基準を設定して投資家にさらなる確信を与えたとジェニングス氏は述べた。
また、「欧州はジェミナイにとって引き続き戦略的重点分野だ」とし、「MiCAによって、この地域は明確かつ一貫した暗号資産規則のためのグローバルな基準を設定できる」と述べた。
|翻訳・編集:林理南
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|原文:Nasdaq to Invest $50M in Winklevoss Twins’ Gemini Crypto Exchange: Reuters


