- 多くのDAT企業の市場純資産価値(mNAV)が1を下回り、暗号資産の購入を一時停止せざるを得なくなったため、BTC、ETH、SOLの需要にとってリスクとなっている。
- スタンダード・チャータードのジェフ・ケンドリック氏は、差別化のためには、低コストの資金調達、規模、ステーキング利回りを備える必要があり、ビットコインよりもイーサリアムとソラナが有利だと述べている。
- イーサリアムのDATは依然として積極的に購入を行っているため、BTCやSOLよりもETHが支持される可能性が高いとケンドリック氏は述べている。
スタンダードチャータード(Standard Chartered)のジェフ・ケンドリック(Geoff Kendrick)氏は最新の報告書で、バランスシートに暗号資産(仮想通貨)を保有する上場企業であるデジタル資産トレジャリー(DAT)企業が、直近数週間で市場純資産価値(mNAV)が1を下回ったことで深刻な打撃を受けていると述べた。
今後の見通しとして、イーサリアム(ETH)のDATはステーキング収益、規制の明確化、成長余地により最も持続力があるとケンドリック氏は主張している。
mNAV比率は極めて重要だ。これが低下すると、これらの企業は暗号資産を買い続けるインセンティブ(時には能力)を失い、ビットコイン(BTC)、イーサリアム、ソラナ(SOL)の主要な需要源が脅かされる。
ケンドリック氏は、DATの次なる段階は差別化が鍵となると述べた。勝者は、最低コストで資金調達でき、流動性と投資家の注目を集める規模を達成し、そして何よりステーキング収益を得られる企業だ。この最後の点が、収益性のないビットコインよりもイーサリアムやソラナのトレジャリー企業に有利に働く。
市場の飽和も影響している。ストラテジー(Strategy)がBTCトレジャリー企業として成功したことで、模倣者が殺到した。アナリストによれば、最新の集計ではそうした企業は約90社に上り、これら全体で保有するBTCは今年6倍に増加しており、15万を超えた。
しかしmNAVが1を下回り続ける場合、統合が進むとスタンダードチャータードは予想している。これはマイケル・セイラー(Michael Saylor)氏のストラテジーのような企業がビットコインを市場で新たに購入する代わりに、競合他社を買収する可能性を示唆する。つまり新規需要ではなく、コインのローテーションだ。
イーサリアムトレジャリー企業はより有利な立場にあり、6月以降、流通供給量の3.1%を買い集めるなど、積極的な蓄積を続けている。最大手のビットマイン・イマージョン・テクノロジーズ(BitMine Immersion Technologies)は保有する200万ETHをさらに増やす態勢が整っていると報告書は述べた。
暗号資産市場にとってこれは重要だ。DATによる買いは2025年のビットコインとイーサリアムの価格の主要な推進力だった。しかしBTC保有高は調整圧力に直面し、ソラナの保有高は依然として比較的小さいため、スタンダードチャータードは、今後イーサリアムが恩恵を受ける可能性が高いと見ている。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Ether Bigger Beneficiary of Digital Asset Treasuries Than Bitcoin or Solana: StanChart


