ビットコイン、10万9000ドルを割り込む──暗号資産苦戦の背景には流動性の逼迫
  • 金と銀が史上最高値を更新する一方、暗号資産(仮想通貨)は急激に引き戻された。 
  • 主要な指標は、米国の金融システムにおける流動性の逼迫を示している。 
  • 銀行は米連邦準備制度理事会(FRB)の常設レポファシリティ(SRF)を利用しており、資金調達のストレスを示唆している。

暗号資産の強気筋にとってはあまりにもお馴染みの展開となっているが、10月16日に価格は再び急激に下落した。対照的に、金と銀は再び、史上最高値を更新した。 

ビットコイン(BTC)は過去1時間で約2%下落して10万8800ドルになり、10日の暴落からの反発分をほぼ失っている。その他の暗号資産はさらに急激に下落し、イーサリアム(ETH)、エックス・アール・ピー(XRP)、およびソラナ(SOL)は過去1時間で約3%安となっている。

しかし、貴金属は引き続き非常に強く買われており、金はさらに2%上昇して4300ドルをわずかに下回る新たな最高値を記録した。銀は3.6%上昇し、こちらも最高値を更新した。

何が原因か?

先週、過剰なレバレッジが一掃された後も、ビットコインやその他の主要なトークンが圧力下にとどまっているのは、何が原因かと疑問に思っているのではないだろうか。 

金融システムにおける流動性の逼迫が主な要因と考えられ、これが投資家のリスク選好を抑制しているようだ。

データソースのTradingViewによると、担保付翌日物資金調達金利(SOFR)と実効フェデラルファンド金利(EFFR)のスプレッドが1週間で0.02から0.19に上昇し、2024年12月以来最高に達したことから、現在進行中の逼迫が明らかである。 

SOFRは、レポ市場で米国債を担保としてオーバーナイトで現金を借り入れるためのコストを表している。借り手は通常、銀行、ブローカーディーラー、資産運用会社、マネーマーケットファンド、および保険会社である。SOFRは、実際の取引データに基づく、ほぼリスクフリーの担保付金利と見なされている。 

一方、EFFRは、銀行がフェデラル・ファンド市場で他の銀行に超過準備をオーバーナイトで貸し出す際の加重平均金利を示している。これは、主にFRBの金融政策によって影響される無担保の銀行間貸出金利である。 

SOFRがEFFRを上回るとき、それは貸し手が米国債によって裏付けられた担保付借入であっても、より高いリターンを要求していることを示している。この状況は流動性の逼迫した状況を示唆し、短期での借り入れをより高価にする。 

このスプレッドの最近の急上昇が、ビットコインの上昇を抑制している可能性がある。ビットコインは多くの投資家から、純粋な流動性取引と見なされている。 

SOFRとEFFRのスプレッド(TradingView)

このスプレッドは、2019年のレポ危機の際に観測された高数値2.95よりも依然としてかなり低いことに注意が必要である。 そうは言っても、資金調達のストレスを示唆する他の兆候も存在している。

例えば、15日に銀行は常設レポファシリティ(SRF)から67億5000万ドル(約1兆円、1ドル=150円換算)を引き出した。これは、四半期末の期間を除いて、コロナウイルスのパンデミック終結以来最高である。 

2021年に導入されたSRFは、米国債を担保に1日2回のオーバーナイト現金貸付を実行することで、資金不足が生じる可能性のある状況下において流動性の安全網を提供する。

こうした流動性逼迫の兆候は、暗号資産関連のソーシャルメディア全体に期待感をもたらしている。FRBが間もなく介入して圧力を緩和し、ビットコイン強気派のエンジンに新たな燃料を供給して最高値更新に向けた新たな上昇相場を呼び起こすとの期待が高まっているのだ。強気派の予想通りに展開するかどうかは、まだ見通せない。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Tumbles Below $109K; Tightening Liquidity Key to Crypto’s Struggles

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