- ドナルド・トランプ米大統領は、関税収入を財源として、ほとんどの米国民に少なくとも2000ドル(約30万8000円、1ドル154円換算)の「配当」を支払う計画を発表した。
- この発表を受けて暗号資産価格は小幅に上昇し、ビットコインは1.75%高の10万3000ドル、イーサリアムは3.32%高の3487ドル、ソラナは1.85%高の160ドルとなった。
- この反発は、週を通して後半な下落が続いた後に起こったもので、CoinDesk 20 Indexは週間で約15%下落した後に回復した。
ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が、ほとんどの米国民に「少なくとも」2000ドル(約30万8000円)の直接関税配当を支払うと発表した後、暗号資産(仮想通貨)価格は小幅に上昇した。
トランプ大統領はトゥルース・ソーシャル(Truth Social)への投稿で、米国は関税によって「数兆ドル」の収入を生み出しており、その資金は37兆ドル(約5698兆円)の国家債務の削減と配当金の財源の両方に充てられるだろうと述べた。
「1人あたり少なくとも2000ドルの配当が(高所得者は除く!)、全ての人に支払われる」とトランプ大統領は書いている。この発表を受け、暗号資産価格は上昇した。
ビットコイン(BTC)は過去24時間で1.93%上昇し、10万3000ドルを上回って取引されている。イーサリアム(ETH)は4.75%上昇して3500ドルを超え、ソラナ(SOL)は2.49%上昇して160ドル台を超えた。CoinDesk 20 Index(CD20)は1.5%超上昇した。
この小幅な反発は、週を通して広範な下落が続く中で発生したものであり、CD20は15%近く急落した後に回復し始めた。ビットコインは依然として週間で5.7%安、イーサリアムは7.5%安となっている。
それでも、今回の反応は、これらの資金が受給者に届けば、消費者支出が増えて暗号資産市場に資金が流入する可能性がある点をトレーダーが織り込んでいることを示唆している。
重要な考慮事項
関税配当のニュースは市場に興奮をもたらしたが、この支払いが即座に行われる可能性は低いことに留意する必要がある。
Damped Spring Advisorsの最高経営責任者(CEO)兼最高投資責任者(CIO)であるアンディ・コンスタン(Andy Constan)氏がXで指摘したように、連邦政府支出の決定権は立法府にあり、関税から得た資金を分配するいかなる計画も議会の承認と予算措置が必要となるため、大統領単独でこの支払を承認または実行することはできない。
強気派にとっては残念なことに、トランプ大統領の関税を巡る議論や法的な異議申し立てが続いていることを考慮すると、議会による迅速な行動の見通しは不透明だ。
一方、税制および予算の専門家らは、これまでに関税から生み出された収入総額は、多数の受給資格者への支払いを賄うのに必要な資金には到底及ばないと指摘している。
「大統領は、高所得者を除き1人あたり2000ドルの関税『配当』を提案した。所得制限を10万ドル(約1540万円)とすると、1億5000万人の成人が対象となり、費用は約3000億ドル(約46兆2000億円)に達する。子どもも対象となれば、費用はさらに増加する。問題は、新たな関税でこれまでに1200億ドル(約18兆4800億円)しか調達できていないことだ」と連邦税政策担当バイスプレジデント、エリカ・ヨーク(Erica York)氏はXで指摘した。
ヨーク氏は、関税の予算全体への影響を考慮すると、財政状況はより不利になると付け加えた。
関税収入を通じて得られる1ドルごとに、課税所得への広範な経済的影響により、所得税および給与税の徴収額が実質的に約24セント分相殺される。この相互作用を調整すると、関税によって生み出される純収入は約900億ドル(約13兆8600億円)となり、還付プログラムで提案されている3000億ドル(約46兆2000億円)を大幅に下回るとヨーク氏は説明した。
この差額により、トランプ大統領が1人あたり2000ドルの配当を関税収入のみで賄おうとした際に困難に直面する可能性がある。
|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:Midjourney/Modified by CoinDesk
|原文:Crypto Prices Rise as Trump Announces ‘At Least’ $2K Tariff Dividend Per American


