- ビットコインなどの主要暗号資産が上昇した。トランプ大統領が輸入関税で財源を賄う「関税配当」を国民に2000ドルを支給する提案にトレーダーが反応したためだ。
- トゥルース・ソーシャルで発表されたこの計画は、実現可能性やインフレへの影響を巡る議論を呼んだ一方で、市場のリスク選好を高めた。
- 議会承認への懐疑論はあるものの、この提案はパンデミック期の景気刺激策を彷彿とさせる形で、暗号資産への関心を再燃させた。
ビットコイン(BTC)と主要な暗号資産(仮想通貨)は11月10日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が提案した、輸入関税を財源とする全国民に2000ドルの「関税配当(tariff dividend)」という最新の経済提案をトレーダーが消化する中で上昇を続けた。
トゥルース・ソーシャル(Truth Social)で発表されたこの計画は、実現可能性とインフレへの潜在的な悪影響を疑問視する声がある一方で、リスク選好度を高めた。
「1人あたり少なくとも2000ドルの配当が全員(高所得者は除く)に支払われる」と投稿は述べ、関税に反対する者は「愚か者だ!」と付け加えた。この発言は、2026年度予算協議を前にワシントンの財政議論が再燃している中で出された。
スコット・ベッセント(Scott Bessent)財務長官は今年初め、関税収入は現在38兆ドル(約5890兆円)近くに達する国家債務の返済に充てられるだろうと述べたが、トランプ大統領の最新のコメントは、直接的な現金給付に向けた大衆迎合的な姿勢を示唆している。
この提案は議会の承認なしには実現しない可能性が高いが、市場はこれを財政緩和の新たな施策と受け止めている。仮説とはいえ、家計への直接支払いというアイデアは、パンデミック時代の刺激策で暗号資産を押し上げたのと同じリスク選好の反射神経を再び呼び起こした。
CoinGeckoのデータによると、ビットコインは24時間で4.6%上昇して10万6440ドルに、イーサリアム(ETH)は6.1%上昇して3618ドルとなった。エックス・アール・ピー(XRP)は8.5%の上昇で2.48ドルと主要通貨の中で最高の上昇を示し、ソラナ(SOL)は6.1%上昇して167.96ドルとなった。
暗号資産市場の時価総額は全体で約3兆5000億ドル(約542兆5000億円)に達し、24時間の取引高は約1130億ドル(約16兆9500億円)と日曜日の取引としては異例の規模となった。
XRPの市場平均を上回る急騰は、カナリー・キャピタル(Canary Capital)がナスダック上場を提案しているカナリー XRP ETF(Canary XRP ETF)に関する3回目のS-1修正案の発効前承認の直後に起きた。
この投資信託はジェミナイ(Gemini)とビットコー(BitGo)がカストディを担い、CoinDesk XRP CCIXber 60m New York Rateをベンチマークとする。
「関税配当」が法律となるか単なる選挙戦のスローガンに終わるかは別として、トレーダーたちは流動性ストーリーを再び先回りして取引する構えを見せている。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:What’s Next for ETH, XRP, ADA, SOL as Trump Dangles a $2K ‘Tariff Dividend’


