セブン銀行、タイのモバイル送金ベンチャーに出資──タイ最大財閥・創業家メンバーが狙うアジアの巨大需要

セブン&アイ・ホールディングス傘下のセブン銀行が、ブロックチェーンを活用した次世代型・モバイル送金ネットワークを開発する、タイのスタートアップ企業への出資を行った。

バンコクに拠点を置くライトネット(Lightnet)は1月10日、3120万ドル(約34億円)の資金を、東南アジア地域で展開するユナイテッド・オーバーシーズ銀行(UOB)のベンチャーキャピタルやセブン銀行、韓国のハンファ投資証券(Hanwha Investment and Securities)などの複数の企業から調達したと発表した。

ライトネットはステラ(Stellar)ブロックチェーンを活用したモバイル送金システムの開発を進めているフィンテック・ベンチャーで、タイ有力財閥のチャロン・ポカパン(CP)グループの会長の子息であるChatchaval Jiaravanon氏が、共同創業した。

銀行口座を持たない個人にモバイル送金サービス

ライトネットの資金調達ラウンドで、参画した企業代表者が集まった(写真提供:ライトネット)

東南アジアでは、銀行口座などの金融サービスへのアクセスが困難な個人や移民労働者が多く存在するなか、ライトネットは既存の送金システムをリプレイスする新たなネットワークを作り上げようとしている。今回のシリーズAラウンドで調達した資金は、ブロックチェーンと送金ネットワークの開発に充てる。

共同創業者でライトネットの会長を務めるChatchaval Jiaravanon氏は、「低コストで迅速な金融包摂を、アジア太平洋地域の40億人に提供するため、ライトネットをスタートさせた。これは全て、速くて、スケーラブル、そして持続可能なステラブロックチェーンが可能にする」と、発表文の中で述べた。

ライトネットは今後、決済・送金において、セブン銀行や送金サービスのマネーグラム(MoneyGram)、米ベンチャーキャピタル大手のセコイア・キャピタルが出資するタイのデジタル決済サービス会社「Ksher」などと連携を深めていく方針だ。

CPグループは2014年に、伊藤忠商事と資本業務提携を結んだことで、日本国内でも広く知られるようになった。農業と食品をコア事業としているが、流通や不動産、携帯電話会社なども手がけるタイ最大のコングロマリットである。

文:佐藤茂
写真:Shutterstock