店舗提示型QRコード決済事業者が公表──d払い、PayPay、楽天ペイなど11社 コード統一規格JPQRは進むか

乱立するQRコード決済を統一して、店舗と消費者双方の利便性を向上させることを目的に総務省が推進する「統一QR決済用コード」(JPQR)の推進事業で、店舗に置かれたQRコードを利用者が読み取る「店舗提示型」(MPM方式)について、今後の全国展開に参加する決済事業者が公表された。

au PAY、UnionPay(銀聯)、 J-Coin Pay(予定)、d払い、FamiPay、PayPay、メルペイ、ゆうちょPay、YOKA! Pay(福岡銀行のみ対象)、LINE Pay、楽天ペイの11サービス提供事業者だ。

店のQRコードを読み取る「MPM方式」とスマホのコードを店員が読み取る「CPM方式」

まず、これらのPayサービスが提供しているQRコード決済の方式は大きく2種類に分けられる。一つは店舗がコードを提示してそのコードを消費者が読み取り、値段を入力して支払う店舗提示型の「MPM方式」(Merchant Presented Mode)。もう一つが、消費者が決済用コードを提示して店舗側がコードを読み取る利用者提示型の「CPM方式」(Consumer Presented Mode)だ。

利用者提示型と店舗提示型のいずれのサービスも、似ているもののアプリや使い方は異なる。このため店舗側には導入や店員教育、オペレーションのコストがかかるし、利用する消費者にも分かりにくいといった課題がある。

こうした状況をなくすという期待の下、進められているのがJPQR事業だ。キャッシュレス推進協議会が2019年3月29日、統一QRコード・バーコード(JPQR)の仕様を策定し、公表。総務省や経済産業省が同協議会と連携してJPQRの普及促進をしてきた。19年8月からいくつかのPayサービスがJPQRに準拠したほか、和歌山県などで実際の店舗ではJPQRを導入しての実験も行われていた。

レジ周りに並ぶ各社のQRコードがなくなるが……

JPQRが導入されるとどんなメリットがあるのか。たとえば買い物の際、店舗のレジ周りに、各PayサービスのQRコードがたくさん並んでいるところを見たことはないだろうか。これはその店舗が前述の「MPM方式」を採用しているということだ。

そもそもMPM方式にはメリットとして、POS端末などが必要なCPM方式より手軽に導入できるという点がある。だからCPM方式の導入はコンビニエンスストアなど全国チェーンや大型ストアにはできても、個人商店には難しかった。そこでPOSレジの導入などが不要なMPM方式があったからこそ、QRコード決済が使える店が一気に増えたのだ。

とはいえ、MPM方式にも課題はある。たとえば個別のPayサービスとの契約、店頭に各サービスのQRコード設置、Payサービスごとの決済管理が必要になるといったものだ。

こうした課題の中でも、個別契約は導入時だけの問題だし、各PayサービスがJPQRに準拠すれば、各社のQRコードを設置する必要もなくなる。

しかし、決済管理で日々工数がかかってしまう状況は変わらない。支払いを受ける場面での作業は効率化できても、決済管理は各Payサービス事業者ごとに行なう必要があるとされている。既に各Payサービスの決済管理を集約して行えるクラウドサービスも始まっているものの、費用によってはすべての店舗が利用できるわけでもなく、決済管理については引き続き負担として残りそうだ。

文・編集:濱田 優
画像:JPQR Webサイトより