シリコンバレー銀行とシグネチャー銀行が破綻/暗号資産ファンドは記録的な流出超【3/11~3/17のトップニュース】

暗号資産インデックスプラットフォームPhutureのグロース責任者、チャールズ・ストーリー(Charles Storry)氏は「人々は最悪のケースに備えている。よりトラストレスな資産に移行している」と指摘した──今週のトップニュースをダイジェストで振り返ります。

シリコンバレー銀行破綻の影響は──9.02億ドルのUSDコイン、取引所から引き出し

スタートアップへの融資で知られたシリコンバレー銀行が破綻した。米銀の破綻では、2008年のリーマンショック以来の破綻規模となる。

暗号資産業界にとっては、暗号資産フレンドリーなシルバーゲート銀行が任意清算に追い込まれたことに並ぶ、大きな打撃。特にシリコンバレー銀行にかなりの準備金の預けていたUSDコイン(USDC)の発行元、米サークル(Circle)の動向に注目が集まっている。

サークルによると、USDCは431億ドルが流通し、432億ドルが準備金として保管されている。準備金の26%にあたる114億ドルは、シリコンバレー銀行やシルバーゲート銀行などに現金として保管されている。

金融は銀行がない分散型の未来へ向かっている:バーンスタイン

投資会社のバーンスタイン(Bernstein)は3月10日の調査報告書の中で、金融の未来は銀行が存在しないものになると述べている。銀行は引き続き存在するが、「古い富の管理者」としての役割にあたることになるという。

「新しい富の創造と金融サービスの革新は、イーサリアムのエコシステム上の新しい金融アプリの世界に移るだろう」とアナリストのゴータム・チュガニ(Gautam Chhugani)氏とマヌス・アグラワル(Manus Agrawal)氏は書いている。

メタ、テキストベースの分散型ソーシャルアプリを開発中:報道

Tech Crunchが3月10日に報じたところによると、フェイスブック(Facebook)の親会社であるメタ・プラットフォームズ(Meta Platforms)は、テキストベースの分散型ソーシャルアプリの開発に取り組んでいるという。

記事ではメタの広報担当者の話を引用し、このアプリはテキストの更新情報を共有するための独立した製品になるとしている。このニュースは、最初にインドのビジネスニュースサイト「MoneyControl」に掲載された。

USDCの時価総額が10億ドル減、シリコンバレー銀行の破綻以降

USDコイン(USCD)はナンセン(Nansen)のデータによると、シリコンバレー銀行(Silicon Valley Bank :SVB)が破綻した3月10日朝から、時価総額が約10億ドル(約1360億円)減少している。

CoinMarketCapのデータでも、USDCの時価総額は10日の435億ドルから424億ドルに減少。またUSDCは1ドルを割り、準備金に対する市場の懸念を示した。

DEX(分散型取引所)の取引高、3月11日に過去最高250億ドルを記録

DEX(分散型取引所)の取引高は、DefiLlamaのデータによると、3月11日に過去最高の250億ドル(約3兆3800億円)を記録した。

これまでの記録は2021年5月の243億ドル。当時、ビットコイン(BTC)は約6万5000ドル、イーサリアム(ETH)は4400 ドルだった。

シグネチャー銀行も事業停止【更新】

多数の暗号資産企業を顧客として抱えるシグネチャー銀行(Signature Bank)が3月12日にニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)によって事業停止となった。

ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)のエイドリアン・ハリス(Adrianne Harris)氏は米連邦預金保険公社(FDIC)が管財人となったと声明で述べた。8日にはシルバーゲート銀行が任意清算、10日にはシリコンバレー銀行が経営破綻し、1週間足らずで3行が破綻したことになる。

シリコンバレー銀行破綻、預金は全額保護:米規制当局

シリコンバレー銀行(Silicon Valley Bank)のすべての預金者は全額保護され、3月13日に預金にアクセスできるようになると米財務省、米連邦準備制度理事会(FRB)、米連邦預金保険公社(FDIC)は3月12日、共同声明で発表した。

「FDICとFRBの勧告を受け、大統領と協議した結果、イエレン財務長官は、FDICがすべての預金者を完全に保護する形でシリコンバレー銀行の破綻処理を完了するための措置を承認した」とイエレン財務長官、パウエルFRB議長、グルーエンバーグFDIC議長は共同声明で述べた。

HSBC、シリコンバレー銀行のイギリス法人を約160円で買収

英金融大手HSBCホールディングス(HSBC Holdings Plc)は、シリコンバレー銀行のイギリス法人、Silicon Valley Bank(SVB)U.K.を1ポンド(約160円)で買収する。

提出書類によると3月10日現在、SVB U.K.の融資額は約66億ドル、預金額は約81億ドル。

ブテリン氏の名前のついたウォレットがUSDCを約1億円分購入──USDCは週末に89セントだった

イーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏の名を冠したウォレットが、週末に500イーサリアム(ETH)、つまり70万ドル強(約9400万円)を費やして、あまり知られていないステーブルコインのRAIを鋳造し、その資金で1ドルのペッグを下回って取引されていたUSDコイン(USDC)を購入した。

vitalik.ethというウォレットは7年前に作成され、3月14日の時点で5360以上のETHを保有していた。Ethereum Names Service(ENS)ドメインは暗号ウォレットに紐付けられるが、必ずしもその名前に関連する著名人によって保持されているとは限らない。

米司法省、DeFi犯罪利用のリスク評価を発表へ

米財務省は、DeFi(分散型金融)の犯罪利用を分析したリスク評価をまもなく発表する。

「不正行為者は、犯罪行為やその収益のロンダリングを隠蔽する効果的な方法を常に探している」「DeFiサービスや暗号資産エコシステムの他の要素に対する脅威」とエリザベス・ローゼンバーグ(Elizabeth Rosenberg)次官補(テロ資金調達・金融犯罪担当)は13日、豪シドニーで開催された銀行関連のイベントで述べた。

シリコンバレー銀行の預金移管が完了──預金者は引き出しが可能に

アメリカ連邦預金保険公社(FDIC)はブリッジバンクへの預金移管が成功したことを確認し、シリコンバレー銀行(Silicon Valley Bank)の預金者は3月13日の朝から資金に完全にアクセスできるようになると発表した。

FDICが運営する「Silicon Valley Bank N.A.」と呼ばれる新しいブリッジバンクは、通常の営業時間を持ち、顧客にとっては自動的に切り替わったことになると規制当局は声明で述べている。

ビットコインオプションの取引高が22カ月ぶりの高水準に──銀行破綻の影響をヘッジ

暗号資産(仮想通貨)取引所のデリビット(Deribit)に上場されているビットコイン(BTC)オプションの取引は、アメリカの銀行破綻とそれに伴う市場の乱高下を受け、急増している。

暗号資産データプロバイダーのアンバーデータ(Amberdata)のデータによると、過去24時間にデリビットで24億ドル(約3220億円)相当のビットコインオプションが取引され、1日の取引高としては2021年5月17日以来最高となった。過去24時間に取引されたビットコインは、記事執筆時点で9万9195BTCと過去最高を記録している。

暗号資産ファンド、記録的な流出超

暗号資産(仮想通貨)ファンドからの資金流出は先週、記録的な水準に達した。

コインシェアーズ(CoinShares)が20日に発表したレポートによると、資金流出は5週連続、先週は2億5500万ドルにのぼり、運用資産残高(AUM)の1%に相当した。流出の多くはビットコイン(BTC)ファンドで、約2億4400万ドルの流出超となった。

デジタルユーロは法定通貨と同じ──ユーロ圏内の事業者は受け入れ義務化か

米CoinDeskが入手した、3月13日以降に財務大臣に提出される予定の文書によると、ユーロ圏内の事業者は、デジタルユーロが法定通貨とみなされた場合、それを受け入れることを義務づけられる可能性がある。

中央銀行デジタル通貨(CBDC)に銀行券や硬貨と同じ地位を与えることは、支払い義務が発生し、額面通りの金額での授受が強制されることを意味すると、その文書は述べている。

メタ、インスタグラムとフェイスブックのNFT対応を停止

メタ(Meta)は、インスタグラムとフェイスブックでのNFT対応を停止する。

メタのコマース&金融サービス責任者ステファン・カスリール(Stephane Kasriel)氏は3月13日、停止により同社は「クリエイター、人々、企業をサポートするための他の方法に注力できる」とツイートした。

シグネチャーの買収、暗号資産事業の放棄が条件:報道

シグネチャー銀行は12日、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)が事業停止を決定し、米連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に移った。その後、FDICは売却先を探しているが、買い手は大きな注意事項に同意する必要があると伝えられている。暗号資産を取り扱わないことだ。

ロイターが15日午後、関係者の話を引用して伝えた。

ビットコインのドミナンス、9カ月ぶりの高水準

ビットコイン(BTC)のドミナンス(暗号資産市場全体に占めるビットコインの時価総額の割当)は、TradingViewのデータによると9カ月ぶりの高水準となる45.5%に達した。45%を超えたのは、2022年6月25日に以来。

ファンドが保有するビットコイン、2021年10月以来の低水準に

アメリカの銀行破綻により、連邦準備制度理事会(FRB)が早期に流動性緩和に傾くとの観測が高まり、ビットコイン(BTC)ファンドがコインを流出させている。

ByteTree Asset Managementのデータによると、ヨーロッパ、アメリカ、カナダのクローズエンドファンド、スポット、先物に特化した上場投資信託(ETF)が保有するコインの数は今月1万6560BTC(4億900万ドル、約544億円)減少し、17カ月ぶりの安値となる82万6113BTCになった。

シグネチャーの買収は暗号資産事業の放棄が条件との報道、FDICが否定

米連邦預金保険公社(FDIC)は、シグネチャー銀行の売却先に暗号資産事業の放棄を要求することはないと述べ、報道を否定した。

ロイターは15日、2人の匿名の関係者の話を引用して「シグネチャー銀行の購入者は、同行のすべての暗号資産事業を放棄することに同意しなければならない」と伝えたが、FDICの広報担当者はこれを否定した。

USDCを手がけるサークルの新パートナー、クロス・リバー銀行とは?

クロス・リバー銀行(Cross River Bank)が、暗号資産フレンドリーだったシルバーゲート銀行やシリコンバレー銀行、シグネチャー銀行の破綻を受けて、暗号資産業界で注目を集めている。

同行はベンチャーキャピタルの支援を受け、米連邦預金保険公社(FDIC)の保護対象にもなっている米ニュージャージー州の地方銀行。金融機関であると同時にフィンテック企業でもある。

|文・編集:coindesk JAPAN編集部
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