米下院の景気刺激法案、「デジタルドル」を提案──新型コロナウイルスによる景気低迷を打破

米下院の景気刺激法案、「デジタルドル」を提案──新型コロナウイルスによる景気低迷を打破

新型コロナウイルスがパンデミック(世界的大流行)となるなか、アメリカ経済を支えるために提案された法案には、デジタルドル発行に向けた提言が含まれていた。

デジタルドルを国民に配布

「デジタルドル」は、失業手当申請の急増と深刻な不況につながる可能性がある企業の操業停止および一連の「自宅待機」命令から個人や家庭が生き延びることを支援する。

先週公表された2つの草案、「Take Responsibility for Workers and Families Act」と「Financial Protections and Assistance for America’s Consumers, States, Businesses, and Vulnerable Populations Act」では、アメリカの中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)は「デジタルドル」とデジタルウォレットを使って「適格の個人」にお金──未成年には1000ドル(約11万円)、成人には2000ドル(約22万円)を送ることができる。

どちらの法案も、デジタルドルの提案について同じ用語を採用している。

「『デジタルドル』という用語は、連邦準備銀行の口座に負債として記録されたデジタル台帳への入力からなるドルの価値として表現された残高、あるいは(FRB理事会で決定された)適格金融機関によって換金可能な電子的な価値の単位を意味する」と法案は定義している。

FRBは同様にデジタルウォレットも担当し、受取人のための維持管理を行う。

どちらの法案も、ブロックチェーン、あるいはいかなる種類の仮想通貨の採用を示唆していない。

しかし、ドルのデジタル化については、多くの影響力ある人物はアメリカにとって必須と考えている。例えば、米商品先物取引委員会(CFTC)のJ・クリストファー・ジャンカルロ(J.Christopher Giancarlo)元委員長とトランプ大統領がFRB理事に任命したエコノミストのジュディー・シェルトン(Judy Shelton)氏は、ドルのデジタル化に失敗した場合には、アメリカは金融覇権を失う可能性があると主張している。

法案によると、連邦準備銀行はまた「パススルー・デジタルドルウォレット」と呼ばれるものを管理することができ、受取人は同行が保有する「プールされた準備金残高の比例分配分」を受け取る。

デビットカード配布の提案も

今回の法案の前には、民主党のラシダ・トレイブ(Rashida Tlaib)下院議員がアメリカのすべての国民にプリペイドのデビットカードを提供する「Automatic BOOST to Communities Act」を提案した。カードには最初2000ドルがチャージされており、新型コロナウイルスのパンデミック抑制後の1年後までに、さらに1000ドルが追加される。

「財務長官は、新たに作られた準備金を造幣局の口座から通常の財務省会計に『集約する』」と法案は記している。これらのお金はその後、プログラムを通じて分配される。

「長期的にはカードインフラは、恒久的な財務省運営のデジタルパブリック通貨ウォレットシステムへに移行され、FRB口座あるいは郵便銀行口座を補完するプライバシーに配慮した『eキャッシュ』として機能する」

民主党の法案は、上院が共和党の経済刺激法案をめぐって膠着状態に陥るなかで提案された。民主党は、共和党の支出法案を2度阻止しており、5000億ドル(約55兆円)のプログラムは財務省に過剰な裁量を与え、企業への分配方法について透明性がほとんど確保されていないと主張している。

米株式市場は3月23日、ダウ工業平均が600ポイント近く下がるなど、再び下落して取引を終えた。The Streetによると、ダウは1931年以来、最悪の月となりそうだ。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:mark reinstein / Shutterstock
原文:House Stimulus Bills Envision ‘Digital Dollar’ to Ease Coronavirus Recession
協力:Daniel Nelson 

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