米資産運用のバンガード、証券デジタル化に一歩前進──シティ、NY銀が支援

世界最大級の資産運用会社バンガード(Vanguard)は6月11日、ブロックチェーンを使って資産担保証券(ABS)をデジタル化するプロジェクトの第1フェーズを完了したと発表した。

資産担保証券(ABS):不動産や債権など、さまざまな資産の信用力やキャッシュフローを裏付けとして発行される証券。

同プロジェクトには、ブロックチェーンスタートアップのシンビオント(Symbiont)、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(Bank of New York Mellon)、シティ(Citi)、ステート・ストリート(State Street)、そして匿名のABS発行者が協力。バンガードは、ブロックチェーン上で行われるABS決済のプロセスをモデル化した。

バンガードの最終目的はブロックチェーンを使って証券化プロセスを改善すること。資産担保証券の発行へのブロックチェーン活用には、多くの企業が取り組んでいる。例えば、2020年3月、住宅ローンスタートアップのフィギュア(Figure)は、1億5000万ドルのローンを証券化した。

バンガードとシンビオンは2017年12月から共同で、資本市場でのブロックチェーン技術の活用に取り組んでいる。

「バンガードは、金融サービス業界の進歩を実現する革新的で世界規模のソリューション提供に注力している」と同社投資運用フィンテック戦略グループの責任者、ウォーレン・ペニントン(Warren Pennington)氏は発表文で述べた。

「資産担保証券(ABS)の発行プロセスをデジタル化し、合理化することによって、取引のスピードと透明性を向上させる。コストを削減でき、リスクを最小化することが可能になる。最終的には次世代の資本市場を効率化し、新たなビジネスモデルの実現を目指していく」(ペニントン氏)

翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸、佐藤茂
写真:ペンシルベニア州にあるバンガード本社内部(Vanguard)
原文:Mutual Fund Giant Vanguard Wraps Phase 1 of Digital Asset-Backed Securities Pilot