仮想通貨200億円不明のクアドリガCXは「破産が最良の選択」:管財人E&Y報告書

仮想通貨200億円不明のクアドリガCXは「破産が最良の選択」:管財人E&Y報告書

Brady Dale
公開日:2019年 4月 4日 12:49
更新日:2019年 4月 4日 12:54

創設者の急死により暗号キーが失われ、現在閉鎖されている仮想通貨取引所クアドリガCXの管財人であるアーンスト・アンド・ヤング(E&Y)は、同取引所について再建から破産手続きに移行すべきと提案した。

2019年4月2日(現地時間)に裁判所に提出した報告書でE&Yは、同取引所の債権者は、企業債権者調整法(Companies’ Creditors Arrangement Act:CCAA)に基づく現在の再建プロセスから、新たに破産・倒産法(Bankruptcy and Insolvency Act:BIA)による手続きに移行することで「利益を得ることができる」と述べた。

「CCAAからBIAへの移行は、手続きの合理化にもなる。裁判所などの関与レベルを減らし、管財人にさらに強い調査権限を与える」とE&Yは述べた。

「以前の報告書に記したように、CCAA手続きの現在の目的はデータと資産の回収にある。現在の状況から考えると、クアドリガが再建され、CCAAの保護を切り抜けることはほぼないと思われる」

クアドリガが失った、あるいは引き出せなくなった1億9000万ドル(約210億円)の仮想通貨を回収するE&Yの作業は、引き続きBIAのもとで進められる可能性がある。クアドリガは1月末、約1億3600万ドルの仮想通貨が引き出せなくなり、法定通貨5300万ドルを第三者の支払い処理業者から引き出すために支援が必要と報告した

倒産手続きへの移行には多くメリットがあるとE&Yは述べた。具体的には、クアドリガが財産を売却することを可能にし、チーフ・リストラクチャリング・オフィサー、もしくは取締役の必要性を取り除くことでガバメントの問題を削減し、弁護士が引き続き参加して裁判所命令なしに管財人に「さらなる調査権限」を与えることを可能にする。

倒産はまた、費用対効果が高いだろうとE&Yは述べた。E&Yによると、コスト削減のひとつは、同取引所の資金回収について裁判所に対して情報を更新する必要がなくなることだ。

「倒産手続きであれば、管財人は債権者に対して報告できるようになる」

最終段階へ

報告書でE&Yは、クアドリガの失われた資産に対する調査はほぼ終わりに近づいているだろうと述べた。数週間以内に最終報告書を提出する予定で、裁判所に対する経過報告の最終更新となる。ちなみに2日の報告書は、同取引所の失われた資産について何も触れていない。

以前の報告書ではE&Yは、クアドリガがビットコインを保管するために使っていたコールドウォレットは空になっておりあるアドレス誤って送金されたビットコイン以外)、失われたビットコインの行方は分からないと述べた。

また2日の報告書は、クアドリガの代理として法定通貨を保有している第三者の複数の支払い処理業者にも触れなかった。VoPayなど、複数の処理業者は資産を保有していることを認めたものの、返却には裁判所命令が必要となる可能性がある。

報告書によると、最近、Black Banxにブランド名を変更したWebBank 21などはE&Yの調査に回答していない。Black Banxはクアドリガの代理として約900万カナダドル(約670万ドル)を保有している。

おそらくより重要な点は、クアドリガと取り引きしていた支払い業者の1社はクアドリガの創業者ジェラルド・コットン(Gerald Cotten)氏の未亡人ジェニファー・ロバートソン(Jennifer Robertson)氏が経営していること。だがその会社、ロバートソン・ノバ・コンサルティング(Robertson Nova Consulting Inc.)はクアドリガの代理として、いかなる資産も保有していないと主張している。

「ロバートソン氏の弁護士は、同氏はRNCIの口座を持つ金融機関から最終的な文書を入手するよう働きかけており、入手次第、管財人に提供すると述べた」とE&Yは記した。

資産保全

また報告書はクアドリガとコットン氏の間で公私の区別が明確になっていないとの懸念から、「Cotten Estate、Ms. Roberston、Seaglass Trust、Robertson Nova Consulting Inc.、Robertson Nova Property Management Inc.」 が保有するすべての資産について、資産保全命令を求めていると付け加えた。

「クアドリガの資産は、クアドリガ外部での資産の保有に使われた可能性がある」

E&Yによると、資産保全命令が承認されれば、ロバートソン氏、売却に関して名前が挙がった会社、資産を使ってビジネスを行った会社の資産が保全される。

ロバートソン氏と同氏の弁護士の話し合いに先立ち、E&Yは裁判所命令の有無にかかわらずその資産を凍結できるマリーバ・インジャンクション(資産凍結命令)を求めている。資産凍結命令を使うことで、E&Yはクアドリガの調査を続けることができ、債権者の資産を回復するために資産を売却できるようになる。

翻訳:Masaru Yamazaki
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真:Nova Scotia Supreme Court image by Nikhilesh De for CoinDesk
原文:QuadrigaCX Crypto Exchange Could Soon Be Placed in Bankruptcy