ビットコイン先物ETF、キャリートレードの利回りを上昇させる可能性

この先数週間で複数のビットコイン先物ETF(上場投資信託)がアメリカでデビューすることになりそうだ。ビットコイン先物ETFは、いわゆる「キャッシュ・アンド・キャリー取引(キャリートレード)」への関心を復活させ、結果的に現物(スポット)市場に買い圧力をもたらす可能性がある。

ビットコイン先物ETFは、実際にビットコインに投資するのではなく、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のような認可を受けた取引所でビットコイン先物を購入し、ビットコインの価格パフォーマンスに連動させようとするものだ。

ウォール街がこうしたETFを受け入れたなら、先物プレミアム(先物価格とスポット価格の差)は大幅に上昇し、キャッシュ・アンド・キャリー取引(例えば、現物市場でビットコインを購入し、同時に先物を売却する取引)の利回りは上昇することになる。

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「先物ETFが登場すれば、先物の購入が増える。そうなれば、先物カーブはコンタンゴ(先物がスポット価格に対してプレミアムで取引される状態)状態になり、キャリートレーダーに強いインセンティブを与える。キャリートレーダーは現物市場でビットコインを購入することで取引を開始し、現物価格を押し上げ始める」と米金融大手ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(Brown Brothers Harriman)のグローバル・マーケット・ストラテジスト、イラン・ソロット(Ilan Solot)氏は述べた。

先物プレミアムは上昇

今年初め、ビットコイン価格の上昇と並行してCMEなどの取引所では先物プレミアムが20%以上急上昇したため、キャッシュ・アンド・キャリー戦略が機関投資家の間で盛んになった。なかには先物を売り、現物市場でビットコインを購入することで、年率20%以上のリターンをあげる機関投資家もいた。しかし、ビットコインが5月に35%も下落したことや、バイナンス(Binance)やFTXのような大手取引所がレバレッジを縮小したことで、プレミアムは一桁台に落ち込んだ。

10月、市場に強気相場が戻ってきたことで、プレミアムは急上昇。暗号資産デリバティブ調査会社スキュー(Skew)のデータによると、CMEでは先物プレミアムは9月末時点では−0.4%だったが、現在は年率16%となっている。ビットコイン先物ETFの登場で、先物プレミアムは2桁台を維持すると見られている。

「先物ベースのETFの重要な効果の1つは、利回りが上昇する可能性があること。ETFファンドが現物ではなく先物を購入する状況になれば、先物プレミアムは上昇するだろう。10~20%の『リスクフリー』の利回り(キャッシュ・アンド・キャリー取引の利回り)が新たな基準となるかもしれない」とQCP Capitalは15日にテレグラムで述べた。

15日、米証券取引委員会(SEC)は、ビットコイン先物ETFを承認した。最初に承認された米資産運用会社プロシェアーズ(ProShares)は、すぐには取引を開始しないかもしれないが、初のビットコイン先物ETFになる可能性が高い。

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最近では、暗号資産レンディングを手がけるブロックファイ(BlockFi)、キャシー・ウッド氏率いる米アーク・インベストメント・マネジメント(ARK Investment Management)がビットコイン先物ETFを申請。一方、すでに申請しているヴァルキリーインベストメント(Valkyrie Investments)は、ビットコイン先物ETFの目論見書を更新、ティッカーを「BTF」とし、発売が近いことを示唆した。ブルームバーグ・インテリジェンス(Bloomberg Intelligence)によると、SECは今月はじめ、9件のビットコイン先物ETFの申請を審査していたという。

ビットコイン先物ETFは、多くの機関投資家を暗号資産市場に呼び込むと考えられているが、現物価格を下回ることもある。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:ビットコインETFの可能性(Bloomberg)
|原文:Bitcoin Futures ETFs May Boost Cash and Carry Yields