中国のBSN、24のパブリックチェーンを許可型にローカライズ:内部文書

中国のBSN、24のパブリックチェーンを許可型にローカライズ:内部文書

中国の国家ブロックチェーンインフラプロジェクト「BSN」がいよいよ国内のユーザーにパブリックチェーンの提供を始めるが、当初の計画を大きく変えることになりそうだ。

ブロックチェーン・サービス・ネットワーク(BSN:Blockchain Service Network)は、Dapp(分散型アプリ)開発者に標準化された開発環境を提供するインターネットサービス。

海外ユーザー向けにサービスを開始していたが、いよいよ11月後半から、中国の国内ユーザーが24のパブリックチェーンを使えるようにする。CoinDeskが入手した内部文書によって判明した。

開発者は、これらのパブリックチェーンを使うことで、中小企業向けの資金調達プラットフォームや食品業界向けのトラッキング、銀行や法律事務所、政府機関向けの文書保管など、さまざまな目的を持つDappを開発・運営することができるようになる。

許可型にローカライズ

パブリックチェーンは当初中国市場向けに「ローカライズ」されたもので、その姿は大きく違ったものになる。

BSNでは、分散型パブリック・ブロックチェーンを「許可型(Permissioned型)」に変え、これらのチェーンでの取引手数料の支払いは、すべて人民元による支払いに置き換えられる。

これは巨大な全体像の一部分に過ぎない。中国政府は、ブロックチェーン技術を積極的に支援しているが、あくまで自国の条件の範囲に限られる。

当局はブロックチェーン技術の追跡可能性(トレーサビリティ)や効率性のメリットを享受したいと考えている。だが、ビットコインやイーサリアムのようなパブリック・ブロックチェーンが掲げる分散化は必要としていない。

国際版はパブリックチェーンが使用可能

およそ1カ月前、BSNは6つの主要パブリックチェーンを同ネットワークの国際版に統合した。

この統合によって中国国外の開発者は、標準化された開発環境を使い、これらのパブリックチェーンでDappを開発・運用することができるようになった。国内版とは違い、BSNの国際版ではパブリックチェーンが許可されている。

「法律、規制上の要件、プロジェクトのあり方などから見て、パブリックチェーンが中国市場に参入し、拡大する効果的な方法はほとんどなかった」と内部文書には今回の最新の取り組みについて書かれている。

「分散型パブリックチェーンは規制当局が監視することが可能な、許可型のコンソーシアム型パブリックチェーンに変わる。それが現在、各種プロジェクトがコンプライアンスを遵守し、中国国内ユーザーを獲得するための最も直接的で効果的な方法となる」

取引手数料は人民元のみ

新しい許可型チェーンは、本来のものとは大きく違ったものになるだろう。

イーサリアムのような分散型パブリックチェーンを許可型にするために、BSNは指定されたオペレーターのみに、ノードの開発と運用を許可する。ノードではDappがチェーン上の取引を認証し、データを保管する。

BSNは、ピア・ツー・ピアの無料の取引をブロックし、Dappの開発・運用を行うための手数料の支払いにイーサリアムの「ガス」ではなく、人民元の使用をユーザーに求める。

「BSNはパブリックチェーンでの暗号資産(仮想通貨)による、あらゆる取引を技術的に不可能にした。BSNは関連法規と規制に厳格に従い、違反したチェーンはネットワークから排除する」

「パブリック・パーミッションド・ブロックチェーン」

BSNは、2021年第1四半期中に24のすべてのパブリックチェーンの国内版ネットワークへの統合を完了させ、2021年上半期中にこれらのチェーンが相互にデータを共有できるようにする計画だ。

BSNは、パブリックチェーンでのサービスを管理するためのコンソーシアム「パブリック・パーミッションド・ブロックチェーン(Public Permissioned Blockchain)」を設立。内部文書でコンソーシアムのメンバーとして唯一名前があげられているフォビ・グループ(Huobi Group)が、取引の決済と清算、新サービスのマーケティング、公式ポータルの運営を担当する。

名前は明かされていないが、あるクラウドサービスプロバイダーが、パブリックチェーンのデータ保管や他の基本的なインターネットリソースを提供する。

BSNをサポートしている代表的な中国企業の一つは、大手通信企業の中国移動通信(China Mobile)であり、同社は中国全体にデータセンターの大規模なネットワークを保有している。

BSNはまた、Dapp向けにインターネットサービスを提供するために、AWS Chinaとも連携している。

パブリックチェーンの名称も独自のものに

BSNは、中国の経済政策を担う最高機関である国家発展改革委員会(NDRC:National Development and Reform Commission)傘下の国家情報センター(SIC:State Information Center)が主導している。

BSNは、パブリックチェーンの技術仕様を中国の規制に従わせ、BSNに適応させる責任を負うことになる。

内部文書では、これら24のパブリックチェーンの名称は具体的には記されていないが、BSNはすでに、テゾス(Tezos)、イーサリアム、コスモス(Cosmos)のアイリスネット(IrisNet)をはじめとする主要な国際プロジェクトの統合を完了させている。

「24のパブリックチェーンは、グローバルなブロックチェーンコミュニティの中で非常に評判の高いものだが、BSNで運用する際には、元の名前を使うことはない」と社内文書には書かれている。つまり24のチェーンには、二十四節気(立春、啓蟄、夏至、秋分など、太陽の動きを24等分した中国発祥の伝統的な暦)に基づいて名前がつけられるようだ。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:Shutterstock
原文:China’s BSN to ‘Localize’ 24 Public Blockchains by Making Them Permissioned

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