ジェームズ・ボンドがつけた腕時計の値段は──ブライトリングがブロックチェーンを使う理由

ジェームズ・ボンドがつけた腕時計の値段は──ブライトリングがブロックチェーンを使う理由

映画『007 サンダーボール作戦』(1965年)でジェームズ・ボンドに支給されたブライトリングの腕時計は2013年、クリスティーズ(Christie’s)でオークションにかけられ、16万ドル(約1700万円)で落札された。フリーマーケットで24ポンド(約3400円)で売られていたのが見つかったと言われている。

しかし、今のブライトリングはそうした数奇な運命をたどることは決してないだろう。ブロックチェーンが腕時計の世界にも及んでいるからだ。

拡大する中古市場からの要求

ブライトリングは10月13日、イーサリアムベースのデジタルパスポートを提供すると発表した。由来を追跡するこの取り組みは、2020年3月、ある特定のモデルに初めて提供された。

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高級腕時計には常に物理的な(現在では電子化された)証明書と国際保証書がついていた。だがサービスと修理の履歴を追跡する透明性を持った標準化された方法が必要と同社チーフ・デジタル・テクノロジー・オフィサー、アントニオ・カリエーロ(Antonio Carriero)氏は述べた。

同氏によると、この必要性は特に急成長を続ける中古腕時計市場からもたらされているという。ここ数年、中古腕時計市場は約200億ドル(約2兆1000億円)まで成長し、新品市場のほぼ半分の規模となっている。

「(高級中古腕時計)プラットフォームで腕時計を購入するときは、購入しようとしている商品を完全に追跡できること、商品の履歴についての完全な透明性が重要な要素となる。それらの機能を一元化したシステムは現在存在しない」(カリエーロ氏)

ブライトリングは、カルティエ、ダンヒル、ジャガー・ルクルト、モンブランなどを傘下に持つスイスの高級ブランド、リシュモン(Richemont)とつながりのあるブロックチェーン、アリアニー(Arianee)との連携を選択した。

ノン・ファンジブル・トークンを活用

アリアニーは、高級腕時計などに「透かし」を入れたり、デジタルアート作品の真正性を証明する方法、いわゆるノン・ファンジブル・トークン(NFT)を含むイーサリアム上のシステムを活用する。

ブライトリングは、デジタル証明書に関するグローバル標準を構築するために、個々に取り組むのではなく業界全体で取り組むことを望んでいるとカリエーロ氏は述べた。

「アリアニーを自社の保証システムに統合するためにブライトリングが開発したものはすべて、使いたい人が誰でも無料で利用できる」とカリエーロ氏は述べた。

真正性の証明は、ブロックチェーン技術の大半の企業向け用途とは大きく異なる、新たな魅力的なユースケースだ。企業向け用途は多くの場合、既存システムをリプレースするものだ。

高級品の真正性に取り組むのはアリアニーだけではない。

2019年3月、ルイ・ヴィトンを傘下に持つLVMHは、ブロックチェーンベースの真正性システム、コードネーム「AURA」の稼働準備を進めていると述べた。このプロジェクトには、コンセンシス(ConsenSys)やマイクロソフト・アズールが関わっている。

AURAの進展について、コンセンシスの広報担当者は現時点で付け加えることはないと述べた。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
写真:ブライトリングの腕時計(Bence Balla-Schottner/Unsplash)
原文:Breitling Goes Live With Ethereum-Based System to Put All New Watches on the Blockchain

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