イーサリアム2.0、PoSネットワークの預け入れ開始──“ワールドコンピュータ”目指しまた一歩前進

イーサリアム2.0、PoSネットワークの預け入れ開始──“ワールドコンピュータ”目指しまた一歩前進

イーサリアム2.0(Eth 2.0)のデポジットコントラクトが公開された。「ワールドコンピューター」を目指すイーサリアムの第2ステージの幕開けだ。

デポジットコントラクト:イーサリアム2.0において、イーサリアムをステーキング(預け入れ)するための機能。ステーキングによってユーザーは、報酬を稼ぐことができる。

開発者のアフリ・ショードン(Afri Shoedon)氏によると、協定世界時11月4日午後3時に公開されたデポジットコントラクトは、一般ユーザーに向けたイーサリアム2.0の最初の物理的な実装となる。

デポジットコントラクトは今後予定されているPoS(プルーフ・オブ・ステーク)ブロックチェーンと、時価総額約400億ドル(約4兆2000億円)と評価されている現行のPoW(プルーフ・オブ・ワーク)のメインチェーンをつなぐものとして機能する。

イーサリアム2.0のスタートは当初、ビットコインネットワークのスタートから12年目の記念日となる1月3日に設定されていた。日程は、GitHubのファイルによると、12月1日に延期された。

「皆が待ち望んでいる」とイーサリアム2.0のリサーチャー、ダニー・ライアン(Danny Ryan)氏は10月にCoinDeskの取材に答えた。「無数のリサーチャー、エンジニア、コミュニティーのメンバーがこのプロジェクトにエネルギーを注ぎ込んでいる。PoSコンセンサスがいよいよ始まる。良い気分だ」

32イーサリアムを預け入れる

イーサリアム保有者は、イーサリアム2.0のPoSネットワークにステーキングに必要な32イーサリアム(ETH)を預け入れられるようになった。

保有者が合計52万4288イーサリアムを預け入れると、イーサリアム2.0の骨格となるビーコン(Beacon)チェーンが「ジェネシス」と呼ばれるイベントを開始する。イベントは今後、数週間以内と見込まれている。

ステーカー(32イーサリアムを預け入れた保有者)は、イーサリアムを担保として預け入れた代わりに、ジェネシス後に報酬を獲得できるようになる。ステーキング報酬は年利8〜15%と他の投資リターンに比べると比較的に高い。

それには理由がある。ソフトウエアリスクがあるだけではなく、少なくとも今のところ、デポジットコントラクトは一方通行で、まだ引き出しはできない。

次のステージ

より大きな観点では、デポジットコントラクトと、まもなくスタートするビーコンチェーンは、イーサリアムの共同創業者ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が約7年前に描いた未来に向けた重要なステップとなる。つまり、一般化された、チューリング完全なブロックチェーンの創造とその必要性だ。

チューリング完全とは:ある計算メカニズムがチューリングマシンと同じ計算能力を持つ場合、そのメカニズムはチューリング完全を備えていると考えられる。簡単に言うと、あらゆる処理を実行できる計算能力を備えているということ。チューリングマシンは、コンピューターの概念を生み出した数学者アラン・チューリングが考えた仮想の計算機のこと。

同氏のビジョンは段階を追って展開されてきており、言うまでもないが断続的になっている。ブテリン氏や他の開発者たちは、イーサリアム2.0を4段階に分けて開発している。フロンティア(Frontier)、ホームステッド(Homestead)、メトロポリス(Metropolis)、セレニティ(Serenity)だ。

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各段階は、現行のメインチェーンと将来的なPoSブロックチェーンにハードフォーク、つまり後方互換性のないコード変更(アップデート)を行うことで新機能を追加してきた。

イーサリアム価格とアップデート、開発段階
出典:CoinDesk Research/Coinmetrics

例えば、2020年1月に行われた最新ハードフォークの「イスタンブール(メトロポリスにおける3回目のハードフォーク)」では、イーサリアム1.xブロックチェーンがジーキャッシュ(Zcash)のような他のブロックチェーンとやり取りするためのブリッジが作成された。

イーサリアム2.0への最終段階

イーサリアム2.0のより公式な名称であるセレニティは、4段階の開発段階の中で最も野心的で、議論を呼ぶものだ。事実、複数パートに分けて取り組みが進んでいる。フェーズ0はビーコンチェーン、フェーズ1はシャーディング(承認作業を並行して行う方法)、フェーズ1.5はスケーリングの改善、そして必要なら最終のフェーズ2だ(最後の2つのフェーズはまだ完全には取り組まれていない)。

開発者たちはこの1年、フェーズ0の限定的な予行演習を実施してきたと、コンセンシス(ConsenSys)のジョー・ルービン(Joe Lubin)CEOはCoinDesk宛てのメールでコメントしている。最終テストネットのメダラ(Medalla)は9月にスタートし、比較的安定した状態を維持している。

「我々は、シミュレーションされたテスト環境、公式の認証、監査によって、可能な限りイサーリアム2.0を堅固なものにしている。イーサリアム2.0のファーストフェーズでコミュニティが活性化していることを目にして非常にワクワクしている。今、本当に価値のあるものが課題となっている」

コンセンシスの開発者ベン・エジントン(Ben Edgington)氏は「デポジットコントラクトの展開はイーサリアム2.0にとって、後戻りできない段階を意味する。ここまで来たら最後までやり切るしか選択肢はない。このプロジェクトに2年半携わっており、現状と、この先の展開に非常にワクワクしている」と述べている。

今、すべての視線はメインネットのデポジットコントラクトとビーコンチェーンに注がれているようだ。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:イーサリアムの共同創業者ヴィタリック・ブテリン氏(CoinDesk archives)
原文:Ethereum 2.0 Countdown Begins With Release of Deposit Contract

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