海洋プラスチックで作る衣料、追跡機能に「ブロックチェーン」と仏ブランドが宣伝しない理由

海洋プラスチックで作る衣料、追跡機能に「ブロックチェーン」と仏ブランドが宣伝しない理由

海に捨てられた漁網などの海洋プラスチックから衣料を作るファッションブランド「トゥルートライブ(True Tribe)」は、ブロックチェーンの追跡機能を備えた新製品を発売した。

フランス生まれのトゥルートライブは、米Citizens Reserveが開発したイーサリアムベースのサプライチェーンプラットフォーム「SUKU」と提携。SUKUは、QRコードとリサイクル衣類についての由来データを表示するモバイルアプリを提供している。

ブロックチェーン追跡機能を備えた商品は先月、ロンドンの南モルトン通りにあるセレクトショップ「ブラウンズ・ファッション(Browns Fashion)」に出荷された。

ダイヤモンド、紛争鉱物、高級時計

追跡機能は、ブロックチェーンの非金融分野における代表的なユースケースで、ダイヤモンドなどの高級品を扱う老舗企業エバーレッジャー(Everledger)や、最近ではコバルトのような紛争鉱物(内戦などの資金源となる鉱物)の追跡に取り組むサーキュラー(Circulor)などの事例がある。

高級時計のブライトリング(Breitling)や、ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)なども同様の取り組みを進めている。

トゥルー トライブの創業者兼CEOのアレクサンドレ・サンドバーグ(Alexandre Sundberg)氏は、同社が製造する海水パンツ(一番人気のリサイクルアイテム)は、地中海やアドリア海、北海のダイバー団体「Healthy Seas」のようなNGOが収集した145gの漁網を原料して作られたと話す。

ブロックチェーンを使う理由と使わない理由

ブロックチェーンを使うことで、劣悪な労働環境の工場で行われているような取引ではなく、時間をかけて安定的に仕事をするパキスタンなどの職人を支援することができると、サンドバーグCEOは言う。

「当初はすべての工程をフランス国内で行うつもりだった。しかし、海外の職人たちに協力を求めたことで、多くのベネフィットが得られた。パキスタンはほんの一例で、ベトナム、中国、マレーシア、バングラデシュなども同様」

トゥルー トライブのショートパンツの小売価格は約200ドル。高価だが、高品質で多くの時間とリソースを投入している商品だと同CEOは述べる。

SUKUは、米銀最大手JPモルガン・チェースのエンジニアが開発したブロックチェーンの「クォーラム(Quorum)」を採用している。(JPモルガンはクォーラムをコンセンシス(ConsenSys)に売却した)

興味深いことに、SUKUの説明には「ブロックチェーンを使って」という文言がない。

「我々はその件について、時間をかけてじっくりと考えました。『ブロックチェーンを使って』と表現することは2017年的。ブロックチェーンは今では当たり前になりつつある」と、SUKUの製品・運用担当ディレクターのマーチン・カチンスキー(Martin Kaczynski)氏は述べた。

翻訳:新井朝子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:Shutterstock
原文:French Fashion Brand Adds Blockchain Tracking to Clothes Made From Ocean Plastic

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