韓国の金融規制当局、空売り禁止を延長──米ゲームストップ株騒動の余波

アメリカのゲームストップ(GameStop)株騒動は、韓国における株式の空売り禁止措置の延長に向けた圧力になったと韓国の個人投資家たちは指摘している。

韓国の金融委員会(Financial Services Commission)は3日、株式の空売りの禁止措置を5月2日まで延長すると発表した。ブルームバーグによると、韓国の禁止措置は現在、空売り規制としては世界で最も長い規制になっているという。

韓国は昨年3月、マレーシア、タイ、フランス、スペイン、イタリア、ベルギーなどとともに空売り取引を禁止した。

新型コロナウイルス感染拡大により、市場の不安定要因が拡大していることから、多くの国々が空売り取引を制限した。ほとんどの国はすぐに禁止措置を解除したが、韓国は昨年8月に2021年3月までの延長を決定した。

ゲームストップ株騒動

そして、ゲームストップ株騒動が起きた。

アメリカの個人投資家は1月、人気掲示板「レディット(Reddit)」の株取引コミュニティーの情報をもとに、ヘッジファンドが空売りしていたビデオゲーム販売大手ゲームストップの株を買い進めた。ゲームストップ株は急騰し、ヘッジファンドなどは高値での株の買い戻しを余儀なくされ、株価をさらに押し上げた。

アメリカの個人投資家の動きに、世界中から個人投資家が加わった。韓国では個人投資家が株式市場の70%を占めており、投資家たちは「空売り反対」の掛け声に乗って積極的な買いを続けた。

韓国のヘルスケア大手セルトリオン(Celltrion)など、海外の空売りトレーダーのターゲットとされることが多い株の価格を押し上げるために、約3万人の韓国在住の個人投資家がオンラインフォーラムに集まったと伝えられている。一部の政治家も、禁止措置の延長を求める個人投資家を支持して参加した。

IMFやFTSEの反応

金融委員会のウン・ソンス(Eun Sung-soo) 委員長は3日の記者会見で、禁止措置は延長されたのみならず、5月2日以降も部分的にしか解除されないと発表した。禁止措置は引き続き2000銘柄以上に適用される。

「部分的な解除は、市場への影響を最小限にとどめることが目的だ。(解除の対象となる)時価総額が大きく、流動性が高い銘柄は、空売りが再開されても株価への影響は限定的なものになる」(報道発表資料より)

韓国の個人投資家は、今回の延長措置を歓迎したかもしれないが、世界の当局はそうではない。国際通貨基金(IMF)は1月27日、市場が安定した今、禁止措置を解除するよう求めた。

韓国メディアによると、ロンドンの株価指数を提供するFTSEは韓国の規制当局に書簡を送り、禁止措置が続く場合、FTSE株式市場分類(FTSE Equity Country Classification)における同国の「先進国」の分類を撤回する可能性があると警告したという。先進国に分類されるためには、株式市場は空売りを認めなければならない。

韓国証券取引所は昨年、時価総額で世界トップ20に入っている。

|翻訳:新井朝子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Maddie Meyer/Getty Images
|原文:Following GameStop, South Korea Financial Regulator Extends Ban on Short Sales