ノンファンジブル・トークン(NFT)のマーケットプレイスを運営するニフティ・ゲートウェイ(Nifty Gateway)は29日、二酸化炭素の排出権の購入と技術改良を通じて、今年中にCO2の排出量よりも削減量が多い状態である「カーボンネガティブ」を実現すると発表した。
ニフティ・ゲートウェイは、暗号資産(仮想通貨)取引所「ジェミニ(Gemini)」の運営会社が保有している。ニフティ・ゲートウェイ共同創業者のダンカン・コック・フォスター氏とグリフィン・コック・フォスター氏によると、毎月末にCO2排出量の2倍に相当するCO2排出権を購入するという。
またNFTの発行システムに、標準規格「ERC721」の機能拡張「EIP-2309」を使うことで、イーサリアムの取引手数料の99%を削減する方針だ。
暗号資産業界におけるCO2の排出では、NFTに対しても批判の声が聞かれる。ニフティ・ゲートウェイは数千もの取引を扱うNFTのマーケットプレイスで、環境活動家の批判の対象にもなり得る。実際、あるアート系ウェブサイトはNFTの発行計画を断念した。
CO2排出のダブル・スタンダード
二酸化炭素排出権の購入にあたっては、ベンチマークとしてオープンソースの排出プロジェクトを利用するとニフティ・ゲートウェイは述べた。
同プロジェクトは、ニフティ・ゲートウェイが今月22日までに1300万kgのCO2を削減したと推定した。ニフティ・ゲートウェイは、取引数ではマーケットプレイスの中で第4位だが、二酸化炭素排出量では第2位となる。
「理論的に、ニフティ・ゲートウェイは二酸化炭素の削減者となる」と2人の共同創業者はブログに書いている。
両氏はCO2排出量の削減をアピールしながらも、「ダブル・スタンダード」がNFTアートシーンに当てはめられていると不満を述べた。NFTアートはイーサリアムブロックチェーンで追跡可能だが、「オフラインのアートの世界」ではCO2排出については野放し状態だと主張する。
「伝統的なアートの世界のCO2排出量を算出するブロックチェーンは存在もしなければ、批判の対象にもならない」と両氏は述べ、自動車で博物館にやってくる利用者を例にあげた。
CoinDeskは当記事執筆時点までに、アート業界のCO2排出に関する公的なデータを見つけることはできなかった。
デジタルがもたらす意図しない影響を追うウェブサイト「デジコノミスト(Digiconomist)」によると、一番近い博物館に車で出かけ、6.7マイル(約10キロ)走行したとすると、約4kgのCO2を排出する。一方、ニフティ・ゲートウェイでGIF画像を購入すると31kgのCO2を排出するという。
ニフティ・ゲートウェイが二酸化炭素排出権の購入を開始する時期について、ジェミニの広報担当者に問い合わせたが、まだ返答はない。
|翻訳:新井朝子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:ニフティ・ゲートの創業者、ダンカン・コック・フォスター氏とグリフィン・コック・フォスター(Gemini)
|原文:Nifty Gateway Pledges to Go ‘Carbon Negative’ Amid Criticism of NFTs