1000億ドル市場のDeFi(分散型金融)──GWに学ぶ暗号資産の新領域

1000億ドル市場のDeFi(分散型金融)──GWに学ぶ暗号資産の新領域

暗号資産(仮想通貨)の取引サービスを手がける米コインベース(Coinbase)がナスダック市場に上場したが、多くのアナリストは上場時の時価総額が1000億ドル(約11兆円)を上回ると予想していた。

4月14日の上場当日、時価総額は一時1000億ドルを超えたが、当記事執筆時点、コインベース株(COIN)は初日の終値328ドルを下回る295ドル付近で取り引きされている。

一方、コインゲッコー(CoinGecko)によると、DeFi(分散型金融)トークンの時価総額の合計は1280億ドル(約14兆円)で、トップ5にランクするトークンはUNI、LINK、LUNA、AAVE、CAKE。

DeFiトークンの時価総額推移
出典:CoinGecko

通常、DeFi市場について語る際に時価総額は使わない。ユーザーが利回りを獲得するためにDeFiに預け入れた資産の額を使う。

そして今、その数字も似たような金額規模になり、DeFiに預け入れられた資産は1000億ドルを超えた。

これは非常に大きな数字であり、暗号資産がメインストリームになり始めているなかで、なぜか見逃されているDeFiに再びスポットライトを当てる必要があるだろう。

DeFiに預け入れられた資産は「TVL:total value locked」(預かり資産)と呼ばれる。イーサリアムのTVLは、データサイトのDeFiパルス(DeFi Pulse)によると、約660億ドル(約7兆2000円)で、1月1日の150億ドルから4倍以上に膨れた。

DeFiが活況なのは、イーサリアムだけではない。バイナンス・スマート・チェーン(BSC:Binance Smart Chain)も大きく成長している。

BSCのTVLは380億ドル(約4兆1000億円)にのぼり、パンケーキスワップ(PancakeSwap)が牽引している(Defistation調べ)。イーサリアム上のDeFiで人気のAaveのようなマネーマーケットや、dydxのようなデリバティブソリューションも存在する。

BSC上のDeFiはイーサリアム上のDeFiを上回るペースで成長し、BSCのDeFiのTVLは1月末に10億ドルを超えた。

DeFi vs ICO

下の図は、2020年のイーサリアム上のDeFiの預かり金額(TVL)と、2017〜2018年の新規コイン公開(ICO)ブームでの調達額を比較したものだ。

DeFiの預かり資産(TVL)とICOの調達額
出典:CoinDesk Research

注意点としては、このグラフの作成時、DeFiパルスはヤーン・ファイナンス(Yearn Finance)のTVLの計測方法をアップデートしており、その数字は含まれていない。ヤーン・ファイナンスによると、預かり資産は数十億ドルにのぼるという。

2020年のDeFiの急成長は「DeFiの夏」として知られているが、今や市場ははるかに大きくなっている。

例えば、DeFiのTVLが初めて10億ドルを超えたのは2020年2月、2020年9月には100億ドルに達した。そして今月はじめ、コンパウンド(Compound)は単独でTVL100億ドルを突破した。

さらに4月27には、DeFi分野を切り開いたメイカーダオ(MakerDAO)もTVLが初めて100億ドルを超えた。

ユーザー数100万人?あるいは200万人?

ベンチャー企業1confirmationのリチャード・チェン(Richard Chen)氏は、デューン・アナリティクス(Dune Analytics)を使って、DeFiユーザーについてのデータを集めている。

DeFiのウォレット数
出典:Dune Analytics, Richard Chen

同氏がまとめたグラフを見ると、DeFiに関連したウォレットは少なくとも200万にのぼることがわかる。これは、100万以上、あるいは200万近い個人ユーザーを意味するのだろうか?

明言は難しいが、第三者を介してDeFiに参加している個人ユーザーがいることも留意する必要がある。つまり多くのウォレットを保有するユーザーがいる一方で、多くのユーザーを抱えているウォレットも存在する。

正確なユーザー数がわからなくても、さまざまな金額がDeFiは紛れもないビジネスであることを示している。

クリプトフィーズ(Crypto Fees)は、さまざまなDeFiにおける手数料を追跡しているウェブサイト。同サイトで上位にあげられているユニスワップ(Uniswap)、スシスワップ(SushiSwap)、コンパウンド(Compound)の1日あたりの手数料の7日間平均は、100万ドル〜400万ドルにのぼる。

また、ブロックチェーンソフトウェア企業のコンセンシス(ConsenSys)は、イーサリアム上のDeFiに関する2021年1月−3月期(第1四半期)のレポートを発表、融資(ローン)市場が成長していることを指摘した。

イーサリアム上でのDeFi融資(ローン)
出典:ConsenSys Q1 2021 Defi Report

これらは、DeFiが信頼できるビジネスであることを示している。DeFiは、正真正銘のリターンが得られるプロダクトであり、驚異的なリターンを獲得する方法を提供している。現実離れした賭けではない。

「現実離れした賭け」は、2017年〜2018年のICOブームにおける投資の大半(すべてではないが)を象徴する言葉だろう。

あれから4年、暗号資産市場は再び盛り上がっている。だが多くの人にとって、DeFiの数百億ドルの預かり資産は目に入らないようだ。

理由はなににせよ、大きな話題はまたしても、ビットコイン価格と、なぜかノンファンジブル・トークン(NFT)、ドージコイン(DOGE)となっている。

|翻訳:山口晶子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Roma Kaiuk/Unsplash
|原文:DeFi Is Now a $100B Sector

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