ビットコインからアルトへ進むローテーション【Krakenリサーチ】

ビットコインからアルトへ進むローテーション【Krakenリサーチ】

4月のビットコインは2%のマイナスで、月間リターン連続プラス記録は6カ月で終わった。マイナス幅は決して大きくないが、イーサリアムなどの主要アルトコインが大幅に上昇したことから、ビットコインの時価総額全体に占める割合(ドミナンス)は低下。ビットコインからアルトコインへのローテーションが目立った。

ニュースで振り返る4月相場

まずは、4月のビットコインの値動きとともに主要ニュースを振り返ろう。

(画像:Kraken Intelligence「主要ニュースとビットコイン価格」)

A4月1日──モルガン・スタンレーが、グレイスケール・インベストメンツが運営するビットコイン信託などを通じた間接的なビットコイン投資を開始。
B4月2日──米著名実業家マーク・キューバン氏が、「イーサリアムは本物の通貨に最も近い」、「ビットコインは金の代替的な投資先として優良」と発言。
C4月5日──米マイクロストラテジーが253ビットコインを追加購入。
D4月6日──ゴールドマン・サックスCEOが「デジタル通貨は大きく進化する」と発言。
E4月7日──米カリフォルニア州大手不動産Carusoが家賃支払いにビットコインを受け入れ。
F4月8日──Meituが175ビットコインを購入。米金融大手ステートストリートが仮想通貨交換業に参入を発表。米NYDIG(ニューヨーク・デジタル・インベストメント・グループ)が1億ドルの資金を調達。
G4月9日──ビットコインのマイナーが2020年12月27日以降で初めてビットコインの貯蓄を開始。
H4月12日──マイクロストラテジーが取締役への報酬をビットコインで支払う方針を発表。
I4月13日──イーサリアム系のアプリ開発企業コンセンシスがJPモルガンやマスターカードから6500万ドルを資金調達。
J4月14日──コインベースが上場。ビットフィネックスから流出した6億2300万ドル相当のビットコインが移動。
K4月16日──フィンテック系のアプリ「Wealthfront」が今年後半に暗号資産(仮想通貨)に直接投資できるサービスを開始すると発表。トルコが暗号資産を使った支払いを禁止。
L4月17日──100億ドル相当のビットコイン先物が清算。
M4月19日──カナダの投資会社3iQのビットコインETFがトロント証券取引所で取引開始。著名投資家のレイ・ダリオがビットコインはどんなポートフォリオにも入れるべきと発言。
N4月20日──米送金アプリ「Venmo」が暗号資産購入のサポート開始。
O4月22日──グレイスケールが追加で10億ドル相当の暗号資産を購入、米バイデン大統領がキャピタルゲインに対する課税を40%に増やす提案、モルガン・スタンレーのビットコイン専門プライベートファンドが2900万ドルを調達。
P4月25日──ビットコインが2020年10月以降で初めて100日単純移動平均線(SMA)を下回って取引終了。
Q4月26日──JPモルガンが富裕層顧客向けにビットコインのアクティブファンドを提供する計画を発表。
R4月27日──国内ゲーム開発のネクソンが1億ドル相当のビットコイン購入を発表。
S4月30日──42億ドル相当のビットコインオプション契約が満期日を経過。

5月相場を展望

4月は2%のマイナスだったビットコインだが、5月の歴史的なパフォーマンスはどうだろうか?ビットコインの5月の平均リターンは36%で歴代2番目にパフォーマンスが良い月。マイナスだった年は2015年と2018年のみで、マイナスだった回数は歴代で最も少ない。

(画像:Kraken Intelligence「ビットコイン 月ごとのリターン」)

ただ、休暇を取得する市場関係者が多いことから、取引量の低下には注意をしたほうが良さそうだ。伝統的な金融市場では「5月に株を売って市場から去れ」という格言があるが、伝統的な投資家にも浸透し始める中、ビットコインにもお休みムードが波及するかもしれない。

ドミナンスは 3年ぶり低水準

ビットコインのドミナンスは、3年ぶりに49%まで下がった。1月に73%を付けて以降、8週連続で下降トレンドが続いている。50%という心理的な節目を下回り、今後さらなる低下も予想される。

(画像:Kraken Intelligence「ビットコインのドミナンス」)

背景にあるのは、ビットコインからイーサリアムなどのアルトコインへのローテーションだ。市場参加者は、機関投資家の信任を獲得し安定し始めたビットコインではなく、アルトコインで高リスク高リターンの投資を目指しているのかもしれない。

とりわけ顕著なのが、ビットコインからイーサリアムへのローテーションだ。ビットコインに対するイーサリアムの価値は、3年ぶりの高水準をつけた。

(画像:Kraken Intelligence「イーサリアム/ビットコイン」)

「強い需要・弱い供給」はこれまで、ビットコインの特徴であり強みと認識されていたが、4月はイーサリアムがビットコインからそのスポットライトを奪った形となった。(クラーケン・リサーチの詳細はこちら


千野剛司:クラーケン・ジャパン(Kraken Japan)– 代表慶應義塾大学卒業後、2006年東京証券取引所に入社。2008年の金融危機以降、債務不履行管理プロセスの改良プロジェクトに参画し、日本取引所グループの清算決済分野の経営企画を担当。2016年よりPwC JapanのCEO Officeにて、リーダーシップチームの戦略的な議論をサポート。2018年に暗号資産取引所「Kraken」を運営するPayward, Inc.(米国)に入社。2020年3月より現職。オックスフォード大学経営学修士(MBA)修了。

※本稿において意見に係る部分は筆者の個人的見解であり、所属組織の見解を示すものではありません。


|編集:佐藤茂
|トップ画像:Shutterstock

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