暗号資産ヘッジファンド、DeFi(分散型金融)への関心を強める:PwCレポート

暗号資産ヘッジファンドの運用資産残高は、2019年の20億ドルから2020年には約38億ドルとなり、DeFi(分散型金融)への関心を強めている。PwCとAIMA(Alternative Investment Management Association)によるレポートで明らかになった。

24日に発表された「グローバル・クリプト・ヘッジファンド・レポート(Global Crypto Hedge Fund Report)」によると、暗号資産ヘッジファンドの31%が分散型取引所(DEX)を利用しており、ユニスワップ(Uniswap)が16%、続いて1inchが8%、スシスワップ(SushiSwap)が4%となっている。

またDeFiトークンへの投資も増加しており、チェインリンク(Chainlink)の「LINK」トークンに投資しているヘッジファンドが30%で最も多く、ポルカドット(Polkadot)の「DOT」が28%、Aaveの「AAVE」が27%で続いた。

DeFi Pulseによると、DeFiはこの数カ月で爆発的に成長しており、預かり資産残高は600億ドルにのぼるという。

一方、伝統的なヘッジファンドの中には、暗号資産に特化したファンドを設立する戦略の一環として、DeFiに関心を示しているところもあると伝えられている。

伝統的金融機関もDeFiに関心

ビットコイン(BTC)は依然として圧倒的な人気を誇っているが、イーサリアム(ETH)は67%が投資対象としている。また暗号資産のステーキングには42%、レンディング(融資)には33%が関与している。

さらに、より伝統的な金融機関もDeFiへの関心を高めているとPwCの暗号資産責任者、ヘンリ・アルスラニアン(Henri Arslanian)氏は述べた。

「利用はまだ先かもしれないが、多くの金融機関はDeFiを学び、DeFiが金融サービスの将来に与える影響を理解しようとしている」(アルスラニアン氏)

暗号資産ヘッジファンドの平均リターンは2020年、128%だった(2019年は30%)。ファンドへの投資家の多くは、富裕層(54%)あるいはファミリーオフィス(30%)で、運用資産残高が2000万ドル以上の暗号資産ヘッジファンドの割合は35%から46%に増加した。

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またレポートによると、伝統的なヘッジファンドマネージャーの47%(運用資産残高合計1800億ドル)は、すでに暗号資産に投資しているか、投資を検討しているという。

「AIMAと協力して、今年のレポートに伝統的なヘッジファンドを加えたことは、暗号資産が機関投資家の間でいかに急速にメインストリームとなりつつあるかを示している。1年前には考えられなかったことだ」とアルスラニアン氏は述べた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Crypto Hedge Funds Show Growing Appetite for DeFi: PwC