ビットコインの弱気相場は不吉なサインではない

ビットコインの弱気相場は不吉なサインではない

第2四半期(4−6月期)、ビットコイン(BTC)は6万488.99ドルの史上最高値を記録し、そこから46%安の3万5046.22ドルで四半期を終えた。この値下がりや他の要素から、CoinDeskは先週、暗号資産(仮想通貨)は正式に弱気相場に入ったと大胆な主張を行なった。

値下がりによって多くの人たちはシニカルになり、一度は多額の資産を所有し、思い上がっていたデイトレーダーたちは突然、「テクノロジーに魅了されて投資している」ということになっている。しかし、弱気相場は必ずしも、機関投資家たちの破滅を意味する訳ではない。

ビットコイン、イーサリアム(ETH)、その他の暗号資産の内在的価値を信じる投資家たちにとっては、市場心理を測り、長期的投資戦略を形成するのに便利なツールや指標に、弱気相場がスポットライトを当ててくれる。

そのような指標の1つがMVRVだ。ビットコインの実現価値に対する市場価値を示すものだ。過去を振り返ると利益確定の前に高くなっていたが、今回この指標はまだそのような高水準に達しておらず、トレーダーが利益を得ることのできる、実現していない利益がまだ暗号資産市場に存在することを示唆している。

さらに、ビットコインの1日あたりの発行額(米ドルベース)を365日移動平均で割った「Puell Multiple」と呼ばれる指標は先日、1年ぶりの低水準まで低下。BTCの過小評価と、弱気な市場の動きの衰えの可能性を示唆している。

ビットコインのMVRV
出典:Coin Metrics, CoinDesk Bitcoin Price Index (XBX)

価格についての議論から次へ移る前に、簡単に触れておきたい点が1つ。イーサ価格が第2四半期に20%値上がりしたのに対し、ビットコインは40%値下がりしたということだ。

CoinDeskのイーサ価格インデックスが2016年に誕生して以来、これら2つのコインの四半期の結果が逆になったのは今回で4回目だ。そのように珍しい差にも関わらず、BTCとETHの1日当たりのリターンの90日間における相関関係は相変わらず強力であり、第2四半期を通じて約0.75となっていた。

中国 vs ビットコイン

第2四半期におけるその他の目立ったニュースとしては、中国による国内ビットコインマイニングの取り締まりが挙げられる。取り締まりは初めてのことではないが、今回はこれまでとは様相が異なるようだ。

長年にわたって、ビットコインマイニングが「東から西へ」移転する可能性がささやかれていたが、実際に発生している兆候が見られるのは今回が初めてである。

青海省、内モンゴル自治区、雲南省、四川省における5〜6月にかけての規制当局による取り締まりによって、複数の中国系マイニングプールは閉鎖、あるいは事業規模の縮小を余儀なくされた。

各地域での取り締まり強化の後、マイナーが費やす演算パワーを示すビットコインのハッシュレートは、マイナスの影響を受けた。ハッシュレートは第2四半期中、1秒間に2億ハッシュレートまで到達したが、同四半期が終わる時には9000万テラハッシュをわずかに下回っていた。

ビットコインの1日当たりの平均ハッシュレート
出典:Coin Metrics, CoinDesk Bitcoin Price Index (XBX)

中国を拠点としていたマイナーが事業を移転するに連れて、ハッシュレートは徐々に回復するだろう。そこに本当に重要な点が隠されている。マイナーたちはどこに向かうのだろうか?

米メリーランド州に装置を空輸しているのか?カザフスタンに移転するのか?ビットコインマイニングに対する中国政府の姿勢が一時的なものであるという望みに賭けているのか?

今のところ確かなことは分からないが、マイナーたちが最終的に落ち着く場所は、ビットコインマイニングに使われるエネルギーに大きな影響を持ち、この先何カ月にもわたって注目するべき重要なポイントとなるだろう。

ビットコインは「ベビーブーマー世代のコイン」ではない

市場のボラティリティとビットコインマイニングへの規制当局からの取り締まり以外では、ビットコインは第2四半期、繰り返し革新する価値のあるテクノロジーであることを証明した。

2021年6月12日、マイナーは「タップルート(Taproot)」と呼ばれるビットコインの技術的アップグレードへの賛成を表明。タップルートには、ネットワークセキュリティ、プライバシー、スケーラビリティの改善を狙った3つのアップグレードがまとめられている。2017年のSegregated Witness(SegWit)によるブロック容量の拡大以来、ビットコインネットワークに対する最も重要なアップグレードとなるものだ。

「古く巨大でゆっくりとしたテクノロジー」であるために、ツイッター上でビットコインが「ベビーブーマー世代のコイン」と形容されることに対して、懸念が生まれている。

ビットコインの「デジタルゴールド」というナラティブが時間とともに、「デジタル」というよりも「ゴールド」寄りになってきているのは確かだが、タップルートの11月での実施が正式に決定した今、ビットコインはもはやベビーブーマー世代のコインではない。ビットコインは楽しくワクワクするテクノロジーなのだ。

幅広く分散化したコンセンサスの制約の中で変化できるビットコインの力は、有意義なものだ。ビットコインの大きな変化は頻繁には起こらず、ネットワークの厳しくゆっくりとしたガバナンスのプロセスを上手く通過できる数少ない変更は、時間をとって理解する価値がある。

ビットコインは今のところ、デジタルゴールドとしての地位を維持しながら、ゴールドが想像もできないようなユースケースへと広がっていると、楽観主義者は考えている。

|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:Shutterstock.com
|原文:Crypto Long & Short: A Bear Market Doesn’t Spell Doom

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