コインベース株を物色する米大手金融機関

米国の大手金融機関や一部の年金基金が4~6月期に、暗号資産(仮想通貨)取引サービスを手がけるコインベース(Coinbase Global)の株式に大量の資金を投下していたことが分かった。

金融規制当局に提出された各社の報告書によると、ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェース、シティグループ、バンク・オブ・アメリカなどの米大手銀行は6月30日時点で、コインベース(証券コードは「COIN」)の株式を保有していた。

また、ブラックロック(BlackRock)、ブリッジウォーター(Bridgewater)、ミレニアムマネジメント(Millennium Management)などの資産運用会社も同時期に、COIN株を保有していたことが明らかとなった。

米国の大手金融機関はビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの暗号資産に直接資金を投下せず、同資産を主に扱う企業の株式を取引することで暗号資産市場の成長性を取り込もうとする狙いがある。コインベースは米国最大級の暗号資産取引所を運営しており、今年4月にナスダック市場に同社の株式を直接上場している。

大手金融機関によるコインベース株の取引を巡っては、その全てが買い持ち(ロング)ポジションではない。

大手ヘッジファンドのシタデル(Citadel Advisors)は6月30日時点で、13億ドル相当のコインベース株を保有しているが、そのほとんどはオプション取引によるものだった。

オプション取引:コール・オプションは、特定の日までに特定の価格で、原資産を購入する権利で、プット・オプションは、特定の日までに特定の価格で、原資産を売却する権利。

一方、米州政府が運営する複数の年金基金や投資機関も6月末時点で、コインベース株を保有していたことも明らかとなった。ペンシルバニア州の公立学校職員を対象とする年金基金は260万ドルの資金をコインベース株で保有。ウィスコンシン州の投資組合、テネシー州政府、ユタ州の年金基金はそれぞれ、640万ドル、170万ドル、1320万ドル相当を投じている。

|編集:佐藤茂
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|原文:Bridgewater, Citadel, Even Tennessee’s Treasury Among Coinbase COIN Whales