ビットコインの価格上昇がスローダウンする可能性──データが示す3つの理由

ビットコインの価格上昇がスローダウンする可能性──データが示す3つの理由

ビットコイン(BTC)は、ここ4週間で70%値上がりし、3カ月ぶりに5万ドルの大台を突破した。この値上がりは幅広い強気バイアスを復活させたように見えるが、史上最高値に向けたさらなる上昇には時間がかかるかもしれない。ブロックチェーン指標やチャートの要素が示している。

取引所流入量の増加

取引所ウォレットに保管されているビットコイン(BTC)の数は増加を続けており、最近の流出トレンドを脱し、投資家の売却意欲が新たに強まっていることを示唆している。

調査会社グラスノード(Glassnode)のデータによると、暗号資産取引所は8月23日、1万6606.80BTCを受け取った。これは、直近1カ月ほどのうちで、最も多い1日の純流入数である。さらにここ1週間では、2万9000以上のBTCが取引所へと移動した。

「継続するのを見たいトレンドではない」と、ブロックチェーンインフラ企業ブロックウェア・ソリューションズ(Blockware Solutions)のアナリスト、ウィリアム・クレメンテ(William Clemente)氏は話す。

取引所を出入りするBTC数
出典:Glassnode

投資家は一般的に、売却を計画している時に取引所から自分のウォレットにコインを移動させる。需要側の圧力が変化しないと想定すると、取引所残高の増加は、一時的ではあったとしても、値上がりにブレーキをかける可能性がある。

取引所残高は、8月19日までの3週間で10万BTC以上も減少。おおむね強気の市場心理を反映していた。ビットコインはその期間中、約3万ドルで底値を打ち、4万5000ドルまで回復した。

クジラによる買い溜め中断

市場トレンドを動かす力を持つ大口投資家の「クジラ」は、5月中旬の価格暴落後にコインを買い集めていたが、ここにきて在庫を減らし始めている。

1000BTC〜1万BTCを保有するエンティティ(ネットワーク内で同じ参加者によって管理されているアドレス群)が保有するBTCの数はここ3週間で、約7万5000BTC近く減少。値上がりとは逆方向に進んでいる。

クジラが保有するBTC数
出典:Glassnode

大口投資家たちは、3月中旬にビットコインが3万ドルまで値下がりして以降、ビットコインを買い集め始め、底値を支えた。その後ビットコインは支持線を保ち続け、今月になって値上がりした。

最近の値動きはまた、買い手側の弱まりも反映している。「5万ドル超えで1日を終えられなかったことは、需要の弱さを示している」と、デジタルエコノミートレーディングを手がけるQCPキャピタル(QCP Capital)は指摘する。

ビットコインは23日、5万496ドルを記録したが、協定世界時での終値は5万ドルを下回っていた。当記事執筆時点では、約4万9400ドルで取引されている。

QCPキャピタルは、2020年末のような飛躍的な上昇方向のブレイクアウトを見込んではいない。同社はまた、インプライド・ボラティリティ(将来の価格変動に対する期待値)が継続して落ち着いていることと、機関投資家向けファンドのグレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)が割安となっていることを、強気の見通しを控えめにする理由として挙げた。

23日にビットコインが5万ドル超えまで値上がりしたにも関わらず、年率換算のインプライド・ボラティリティは最近の低水準である82%近くを保っている。

一方、データサイトのスキュー(Skew)によれば、GBTCは23日、資産価値より14%割安で取引されていた。「スポット価格の値上がりが力強く継続することを見込むなら、アメリカでの関心を示すものとして、GBTCは少なくともスポット市場と同水準で取引されなければならない」と、QCPキャピタルは指摘する。

「スポット価格が4万8000〜5万1000ドルの水準付近で粘ることを見込んでいる。我々にとって明らかな取引は、ショート・ボラティリティ戦略(コール/プットオプションを売ること)だ」と同社は続けた。

チャートの壁

テクニカル分析は、ビットコインが重要な抵抗水準である5万1110ドルまで達する前に保ち合いに入る可能性を示唆している。この水準は、4月中旬から7月の急落までのフィボナッチ・リトレイスメントの61.8%である。

14日RSI(relative strength index:相対力指数)は現在、明確な方向性を示していない。「RSIにおける保ち合いトライアングルは、好調な値動きにも関わらず、市場におけるためらいを反映している」と、QCPキャピタルは説明する。

ビットコインのデイリーチャート
出典:TradingView

23日に発表された調査会社フェアリード・ストラテジーズ(Fairlead Strategies)の週刊リサーチレポートによると、デマーク(DeMark)指標は、短期的な上昇方向の疲弊を示唆している。

デマーク指標は、直近の最高値と最安値をその前の期間の数値と比較して、原資産の需要を測定するものだ。週足のストキャスティクスも、過剰買いの状態を示唆している。

「ビットコインは5万1000ドル付近の61.8%フィボナッチ・リトレイスメント水準で抵抗にあっており、これは値上がりの短期的中断の場所としては自然なものだ」と、フェアリード・ストラテジーズのケイティ・ストックトン(Katie Stockton)氏は話す。

しかしストックトン氏は、200日移動平均(MA)が再び高まっていることから、長期的勢いは強まっていると続けた。そのため、ビットコインはゆくゆくは、5万1110ドルの抵抗線を越えるかもしれない。

|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:The 3 Reasons Why Bitcoin’s Ascent May Slow

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