ビットコインとUSDT、中国・恒大集団の経営危機の関係とは【オピニオン】

米ドル連動型ステーブルコインを発行するテザー(Tether)社を批判する人たちは、デジタル資産は世界で最も古い仕事をベースにしていると言う。不動産投機だ。

暗号資産市場は先週11日、中国の不動産開発大手・恒大集団がデフォルト(債務不履行)寸前と伝えられたのと同じ頃に下落した。同社は最終的に1億4800万ドル超を支払ってデフォルトを回避したものの、中国の不動産業界に対する長期的な見通しには懸念が残る。

中国の不動産業界の問題は、暗号資産とどのような関係があるのだろうか?映画のワンシーンで、探偵がコルクボードに貼った写真を白い糸で結び、謎を解く場面を思い浮かべてみてほしい。以下のような謎解きになる。

CryptoCompareのデータを見ると、ビットコイン(BTC)の取引の約半分には、米ドル連動型ステーブルコイン「テザー(USDT)」が使われている。USDTを裏付けているテザー社の資産、約750億ドル(約8兆5000億円)のうち、約半分はコマーシャルペーパー(CP)だ。テザー社は9月に恒大集団のCPを保有していないと発表したが、およそ1カ月前にはBloomberg BusinessWeekがテザー社の保有資産には「中国の大企業が発行した数十億ドルのCPが含まれている」と報じた。

つまり、テザー社は恒大集団のCPを保有していないかもしれないが、中国の他の不動産会社のCPを保有しているのではないかと懸念されている。

規模の問題

USDT、ビットコイン、中国のコマーシャルペーパー(CP)、この3つの規模と成長の巨大さを理解すると、最新のニュースを読み解く新たな視点を得られるだろう。

2年前、USDTの発行総額はわずか40億ドル、それが今では19倍近くになった。ビットコインの時価総額は2年前の1590億ドルから1兆3000億ドルへと約8倍になっている。

一方、中国人民銀行のデータを見ると、中国における2021年第2四半期(4−6月期)期限のCP発行額は約9000億ドル、2019年第2四半期の7000億ドル弱から約30%増にとどまっている。

金額をグラフにすると、以下の通りだ。

成長率で見ると、下のグラフのようになる。

ビットコインとUSDTは関連性がありそうだ。USDTだけ、グラフの縦軸を変えると、以下のようになる。

こうしたデータは本末転倒かもしれない。あるいは、別の説明方法があるかもしれない。

例えば、テザー社がこの2年間に増やした時価総額の半分、つまり集めたドルの半分を中国企業のCPに使ったとしても、それはCPの新規発行額の5分の1以下であり、CP市場で見れば4%に過ぎない。

これは、USDTが中国のCPブームに拍車をかけたと主張する人に対する反論になるだろう。テザー社は本当に中国企業のCPを大量に保有しているのだろうか?CPは期限が来れば現金化できるのだろうか?

こうした疑問に答えるには、テザー社はもう少し透明性を高める必要がある。だがテザー社のこれまでの取り組みを考えると、もうしばらく時間がかかりそうだ。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:Tether, Bitcoin and Chinese Commercial Paper at Scale