テラの広告は変わらず:米大リーグのナショナルズの本拠地

テラ(Terra)は先週の劇的なデス・スパイラルで瀬戸際に追い込まれているかもしれないが、米大リーグ(MLB)「ワシントン・ナショナルズ」の本拠地ナショナルズ・パークにはその名前が大きく掲げられている。

ナショナルズが15日、ヒューストン・アストロズとの連戦を終えるにあたり、我々は3850万ドル(約50億円)のスポンサー契約がどうなっているかを確認するために球場に向かった。球場の観客は暗号資産テラ(LUNA)のことを知っていたのだろうか? 数カ月前のシーズン開幕日に115ドルで取引され、今は1ドルにも満たない暗号資産を保有している人はいるだろうか?

球場のスタッフや観客の様子を見ると、そうではないことがわかった。

業界で注目されているにもかかわらず、テラが価値を失ったことを知っている人はほとんどおらず、テラや他の暗号資産を保有している人はいなかった。あるエレベーター・オペレーターは、「Terra」はラテン語で「汚れ」を意味すると語った。

とはいえナショナルズファンは「Terra」をそのうち認識するかもしれない。2月、テラはナショナルズと5年間のスポンサー契約を結び、前金を米ドルで支払った。そして、中継でよく目立つホームベース裏のシートには「Terra」のロゴが取り付けられ、スタジアム内のダイニングラウンジには「Terra Club」という名前が付けられた。

「Terra Club」に向かう観客たち(撮影:CoinDesk)

スポンサー契約の行方は?

ナショナルズが5年の契約期間を守るかどうかは、来シーズンに予定されているUSTでの支払い同様、現状ではわからない。ナショナルズの代表者は数度にわたってコメントを控え、15日、球場でインタビューすることはできなかった。

昨年、暗号資産関連企業が人気スポーツとスポンサー契約を結ぶケースがしばしば見られた。暗号資産取引所FTXのロゴがMLBの審判のユニフォームに付いており、テゾス(Tezos)はメッツと契約している。

だが、企業のスポンサー契約には悲しい歴史もある。ヒューストン・アストロズの本拠地は1億ドルの契約で30年間「エンロン・フィールド」となるはずだったが、2年しか続かなかった。2001年のドットコム・ショックで倒産したWebvanは、4万2000個のロゴ付きカップホルダーを残し、マーケティングの失敗例として知られている。

しかし、ナショナルズファンが1人もテラ(LUNA)を知らなかったわけではない。Terra Clubに座っていたある男性は、数十億ドルが失われた件をよく知っていた。

彼は、暗号資産を保有しておらず、特にテラが崩壊した今、その方針を変えるつもりはないと述べた。彼はナショナルズとテラの契約については複雑な表情を見せたが、テラが前金で支払っていると知って安心していた。

我々がインタビューした約20人のうち、ほかに先週の驚くべき暴落の詳細を知っていたのは2人だけ。そのうちの1人は、Terra Clubのバーテンダーで、テラはビットコインのようなものだと語った。彼女は投資するお金も、その予定もないが、「戻ってくる」と聞いていると述べた。

試合はエースのジャスティン・バーランダーが5回を無失点に抑えるなど、アストロズが8-0でナショナルズを破った。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:At Nationals Ballpark, Terra’s Bad Week Never Happened