イーサリアムのPoS移行は集中化を招く?──人気ステーキングサービスの懸念と希望

イーサリアムのPoS移行は集中化を招く?──人気ステーキングサービスの懸念と希望

Lido(リド)は、NansenとEtherscanのデータによると、最も人気のステーキングサービスで、イーサリアム2.0の先行的なプルーフ・オブ・ステーク(PoS)ブロックチェーン「ビーコンチェーン(Beacon Chain)」にステーキングされているイーサリアム(ETH)の3分の1という圧倒的なシェアを誇っている。

出典:CoinDesk Research, Nansen, Etherscan

イーサリアムが現行のプルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)に移行すると、イーサリアムブロックチェーンにおけるトランザクションの検証はマイナーではなく、バリデーターが行うことになり、バリデーターは検証作業の報酬を得る。ただしバリデーターとなって、ステーキング報酬を得るには、最低32イーサリアム(現在価格で約6万5800ドル、843万円)をステーキングしなければならない。

プルーフ・オブ・ステーク(PoS):発行済の全コイン総量に対する保有コインの割合によって、発言力が変動するように設計されたアルゴリズムのこと。コインの保有量が多いほど報酬を得やすい仕組みになっている。ビットコインが採用しているプルーフ・オブ・ワーク(PoW)と違って、膨大な電力やマイニング機器を必要としないことがメリットとされる。

Lidoの特徴

Lidoは、ビーコンチェーンでステーキング報酬を得るために、ユーザーが任意の額のイーサリアムを入金できるステーキングサービス。Lidoを使えば、32イーサリアムという最低条件を回避でき、ステーキングノードの運用に必要なスキルも不要で、メンテナンスの責任を負うことはない。

Lidoは、預け入れられたイーサリアムの代わりに、ユーザーに「stETH」を発行する。stETHは「Lidoにステーキングされたイーサリアムを表し、預け入れ額とステーキング報酬の価値を組み合わせた」デリバティブ・トークン。Lidoのユーザーは、stETHを保有したり、市場で売却したり、Curve、Aave、1inchのような別のDeFi(分散型金融)プラットフォームに預けて、さらなる利回りを獲得することができる。

こうしたサービスは「The Merge(ザ・マージ)」(イーサリアム・メインネットのPoS移行)に先立って、ステーキングしたイーサリアムへのアクセスを望むステーカーにとって魅力的。さもなければ、The Mergeが完了するまで、ステーキングしたイーサリアム(および、その間に獲得した報酬)にはアクセスできないからだ。

現時点では、イーサリアムのビーコンチェーンには、イーサリアムの流通量の10.6%がステーキングされており、これは264億ドル(3兆3800億円)弱、1260万イーサリアムに相当する。

1260万イーサリアムのうち、Lidoを通じて、約420万イーサリアムが7万3369人のユーザーによってステーキングされており、Lidoはイーサリアムブロックチェーンで最も利用されているステーキングサービスとなっている。

集中化の懸念と希望

Lido、コインベース(Coinbase)、クラーケン(Kraken)、バイナンス(Binance)は、ビーコンチェーンの4大バリデーターで、Nansenによると、ステーキングのシェアの54%を占めている。さらにLidoは、ステーキングのシェアの約33%を占めていることから、イーサリアムブロックチェーンの長期的な健全性と安全性に関して集中化の懸念が浮かび上がっている。

7万人以上のユーザーを持つ一方で、Lidoは22のバリデーター・ノードを擁している。さらにEtherscanのデータによると、Lido DAO(自律分散型組織)のガバナンストークン「LDO」の上位100人がLDOの供給量の93.1%を占めていること保有している。

Lidoをめぐる集中化の問題は、イーサリアム財団の主席研究員ダニー・ライアン(Danny Ryan)氏がツイッターで指摘した。同氏は「Lidoがシェアの3分の1を占めていることは、PoSに対する集中攻撃」とツイートした。この問題は、バリデーターの削減、ガバナンス攻撃、スマートコントラクトの悪用といった望ましくない事態のリスクを高めることになる。

一方、イーサリアムがPoSに完全に移行するまでの間、コインベースのような暗号資産取引所がステーキングの大部分を占めるのではないかと懸念されていた。Lidoはそもそも、そうした中央集権的な巨大取引所の代替手段として誕生した。

Lidoが現状、コインベース、クラーケン、バイナンスを上回っていることは、イーサリアムのエコシステムは将来も分散化を維持できるという心強いサインと考えることができるだろう。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Lidoのウェブサイト
|原文:Will a Proof-of-Stake Ethereum Lead to More Centralization?

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