「メタバース」の生みの親がメタバース構築へ──SF作家のニール・スティーヴンスン氏、Lamina1を発表

「メタバース(Metaverse)」という言葉は、1992年、SF作家のニール・スティーヴンスン(Neal Stephenson)氏が大ヒット小説『スノー・クラッシュ(Snow Crash)』の中で生み出した。それから30年、スティーヴンスン氏は今、暗号資産界の大物ピーター・バッセネス(Peter Vessenes)氏とともに自身のビジョンを実現しようとしている。

2人は6月8日、メタバースに特化した独自ブロックチェーン「Lamina1」を構築すると発表した。バッセネス氏がCEO、スティーヴンソン氏が会長を務める。

Lamina1は、仮想現実(VR)と拡張現実(AR)の統合に焦点をあてたオープンメタバースの構築に注力していく。

「フェイスブックの名称変更はメタバースにとって大きなマイルストーンとなったが、それ以前からアイデアはできあがっていた」とスティーヴンソン氏はインタビューに応えた。

「マイクロソフトのような大企業が興味を持つようになった一方で、多くの小規模なプレーヤーも興味を持ち始めた。メタバースに参入して、夢やアイデアを作り上げ、自身のクリエイティブな考えや商業的野心を実現したい人が大勢いる」

Lamina1のテストネットとベータ版は、今年後半に稼働する予定。最終的な目標は、小説そのものにインスパイアされた没入型3Dメタバースの構築だ。

Lamina1の計画

バッセネス氏は、最初のバージョンは、アバランチ(Avalanche)ブロックチェーンの「フレンドリーフォークとパートナーシップの中間のようなもの」になるが、計画はまだ確定していないと述べた。

プレスリリースによると、プロジェクトの財政的支援者にはイーサリアムの共同創設者ジョセフ・ルービン(Joseph Lubin)氏をはじめ、大物投資家が名を連ねている。

投資家は、メタ(Meta、旧フェイスブック)が構築しているような中央集権的プロジェクトから、暗号資産ネイティブから支持を集めている「MetaMetaverse」のようなプロジェクトまで、両極端なプロジェクトを支援してリスクヘッジしている。

「人気ブロックチェーンが成功している理由を考えると、コミュニティが必要とするあらゆるリソースを提供し、その成功を手助けすることがきわめて重要。我々が実現したいことは、非常に質の高いIPパートナーや企業パートナーを招いて交流させ、クールなものを生み出すことを手助けすること」とバッセネス氏は語った。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Neal Stephenson Coined ‘Metaverse’ in 1992. Now He’s Building One