ビットコイン、1万9600ドル台まで下落──景気後退懸念が広がる

ビットコイン(BTC)は12日、金融市場全般が下落するなかで、主要なサポートレベルを割り、1万9600ドル台まで下落している。

ビットコインは週末は2万500ドルを維持していたが、12日のアジア取引時間の早くに1万9700ドル台まで下落、その後、一時的に2万ドルまで上昇したが、ヨーロッパ時間の朝には再び下落している。

テクニカル分析は、今月初めに到達した1万8700ドル付近まで下落する可能性を示している。一方、現在の水準から回復した場合は数週間のうちに2万1300ドル付近まで上昇する可能性がある。

出典:TradingView

2870億ドル(約39兆3000億円)以上の運用資産残高を持つシンガポール国有複合企業テマセク・ホールディングス(Temasek Holdings)は金融市場のさらなる下落に警戒を示し、「先進国市場の景気後退」の可能性に触れた。

テマセクは、2023年にアメリカで「穏やかな景気後退」が起こると予測、中国は「課題」に直面しており、世界経済は「もろい状態」にあると付け加えた。

「インフレ率の上昇、コモディティ価格の高騰、深刻なサプライチェーンのボトルネックは、世界市場のさらなる断絶を明らかにしている」(テマセク・ホールディングス)

ユーロは20年ぶりの安値となる1.0002ドルまで下落。ロシアのウクライナ侵攻をきっかけとするエネルギー危機がヨーロッパに景気後退をもたらすとの懸念が要因だ。一方、ドル高は米連邦準備理事会(FRB)が利上げを加速するとの期待が後押ししている。

株式市場も下落した。アジアでは、香港のハンセン指数が1.26%下落、日経平均株価は1.75%下落した。ヨーロッパでは、ストックス欧州600指数は0.60%下落、ドイツのDAX指数は1%下落した。

一部のビットコインの投資家は、反発よりも下落の理由の方が多いと見ている。

「さらなる理由が、短期的に上昇は限られるとの見方を強化している。マウントゴックス(Mt. Gox)が8月に約14万ビットコインを放出するというニュースだ」とQCPキャピタルのトレーダーたちは12日、テレグラムで語った。

「我々の主な結論は、ビットコインの供給がまもなく市場にあふれる可能性が高いというもの。考えられる影響は、ビットコインへのさらなる売り圧力と、おそらくビットコインに対するイーサリアム(ETH)とアルトコインのアウトパフォーマンスだろう」とトレーダーたちは述べた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:TradingView
|原文:Bitcoin Drops to $19.7K as Recession Concerns Weigh on Financial Markets, Euro Nears Dollar Parity