ビットコイン、330万円近辺の値動きが相場局面を決めるか【bitbankチャート分析】

ビットコイン(BTC)の週足は足元で底堅く推移している。8月1日の週足まで5週連続の陽線を記録。今週も4%強上昇し、6週連続の陽線が濃厚だ。

約2カ月間移動平均線となる8EMAの上位を回復すれば、約4カ月ぶりに強いプライスアクションとなる。週足のMACDもゴールデンクロス間近となり、遅行線を上回れば4月以来だ。長期のモメンタムが徐々に上昇していることを示している。

価格は現在320万円台で推移し、300万円より上位での取引が定着し始めている。一方、350万円近辺には前回の戻り高値となったレジスタンスがあり、ある程度の売り圧力が予想される。

長期で見ると、ビットコインは昨年11月の最高値を軸にした高値を切り下げるトレンドラインを形成している。まだ長期的なチャートストラクチャーは弱気な形となっている。このラインを突破するには、大きな急騰がない限り10月以降になると見られる。本格的な上昇トレンドへ転換する可能性があるのは今年の後半になりそうだ。

(BTC/JPY週足/bitbank)

ビットコインの日足は足元で安値を切り上げるチャートを形成している。

価格は330万円の一目均衡表の雲の上限を試す展開だ。価格は2週間移動平均線の14EMAを超え、強いプライスアクション。日足は長期移動平均線の53EMAの上位で推移、2つの移動平均線は4月後半以来となるゴールデンクロスが確定している。

一目均衡表の先行スパンは2週間前ほどに強気に入れ変わっており、長期のトレンドは上向きつつあることを示唆している。

ビットコインはここ数日、上髭を付けた日足が連続しており、330万円のレジスタンスを超えることに苦労している。雲の上限では強い売り圧力が確認され、価格調整が行われていることがわかる。

(BTC/JPY日足/bitbank)

日足のMACDはプラス圏で遅行線を上回り、上昇傾向にある。モメンタムが上向きで推移していることを示している。ボラティリティ指数のADX(16)は低位で推移し、トレンドが弱い状態を示しているが、330万円の上値抵抗を抜けることができれば一気に上昇することが予想される。

ビットコインは6月以降、レンジで推移する場面が多かった。一方、ADXはビットコインが調整相場の最終局面に近づいていることを示唆しており、次のトレンド発生が近いことを示している。

330万円を抜けることができるか否かは、非常に重要な意味を持つと言える。330万円を抜けることができれば、上昇トレンドが発生し400万円台の回復を狙える相場状況に変わるだろう。

(BTC/JPY日足/bitbank)

まとめ

ビットコインは週足、日足共に強気のチャートに移行している。足元では330万円のレジスタンスを抜けることに苦労しているが、現在の高値圏を維持できればレジスタンス突破は時間の問題となるだろう。

相場の底堅さはマクロ環境も影響している。アメリカでは消費者物価指数(CPI)が高止まりし利上げペースの鈍化が見込まれている。ビットコインのようなリスク資産に資金が投入されやすい環境が整いつつある。

今後もアメリカの物価が下落するようなら、さらにビットコインには追い風となる。


真田雅幸:ビットバンク(bitbank)マーケット・アナリスト──カリフォルニア州立大学で経済学を専攻し社会のお金の流れについて興味を持つ。大学在学中にビットコインに興味を持ち、bitbankで業界に関する調査業務を行いながら同社のメディアで寄稿を行う。2015年冬頃からビットコインへの投資、トレードを徐々に始める。最近は基本的なテクニカルに加え、デリバティブ情報やオンチェーン情報も分析しながらトレードを行う。


|編集・構成:佐藤茂
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