Merge後の強気予想をかく乱──イーサリアムとナスダックの相関関係上昇

イーサリアムブロックチェーンの大規模アップグレード「Merge(マージ)」は、イーサリアム(ETH)にデフレ効果を生み、強気派に有利な動きを導くと考えられている。

だがポジティブな展開を期待するトレーダーは、イーサリアムと株式市場の相関関係が高まり、イーサリアムが広範なリスクオフの動きに脆弱になっていることを考慮する必要がある。

マーケットメイキング大手のカンバーランド(Cumberland)によると、イーサリアムとナスダックの30日相関関係は4カ月ぶりの高水準0.765まで上昇した。0.7以上は、2つのの間にプラスの相関関係があることを意味する。

「イーサリアム/ナスダック(ETH/Nasdaq)の30日相関関係は、ほぼ今年の最高水準に戻っている。(今のところ)マージ特有のダイナミクスを覆い隠している」とカンバーランドは20日、ツイートした。

「値動きに関していえば、マクロ経済との相関関係の上昇は、暗号資産ネイティブの参加者がオンチェーンダイナミクスへの深い理解をもとに利益をあげることを難しくしている」

つまり、ナスダックの低迷はイーサリアムには圧力となり続け、Merge後のファンダメンタルズの改善から大きな上昇を期待していた人々を失望させる可能性がある。

消え去った週1億ドルの売り

Mergeによって、イーサリアムブロックチェーンはプルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)に移行した。PoWではマイナーは複雑なアルゴリズムを解いて取引を検証することで報酬としてイーサリムを手に入れ、それを定期的に現金化して運用資金に充てていた。

カンバーランドによると、イーサリアムマイナーは以前、1週間あたり約1億ドル(約140億円)相当のイーサリアムを現金化していたという。

Merge以降、マイナーによる相当の売りがマーケットから消え去った。さらにMergeによって、イーサリアムの1日あたりの発行量は95%減少した。

マクロ経済的要因や株式市場との相関関係が短期的には悪影響を与えるかもしれないが、供給量の大幅な減少は最終的にイーサリアム価格にとって良い兆候になるとカンバーランドは楽観的な見方をしている。

「週あたり1億ドルのマイナーの売りが突然消え去ったことは、オフチェーンの需給の大きく、無視できない出来事であり、問題はその影響が表れるかどうかではなく、いつ表れるかだ。長期的には、流れに逆らうことはほぼ不可能」とカンバーランドはツイートした。

イーサリアムは日本時間22日17時時点、1300ドルを割り、1280ドル付近となっている。

出典:CoinDesk

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:Strengthening Ether-Nasdaq Correlation Muddles Post-Merge Bullish Plays: Cumberland