中国人民銀行、デジタル通貨のローンチに「迫る」

中国の中央銀行にあたる中国人民銀行の幹部は、同行による独自のデジタル通貨のローンチが間近に迫っている、と述べた。

週末に中国で開かれたイベントにて、中国人民銀行の決済局次官、穆長春(Mu Changchun)氏は、同行が2018年以来、デジタル人民元を実現するためのシステムの完成に向けて懸命に取り組み続けており、「完成は間近」であると述べた。2019年8月12日(現地時間)、ブルームバーグ(Bloomberg)が伝えた。

ソーシャルメディア大手のフェイスブック(Facebook)が仮想通貨プロジェクト「リブラ(Libra)」の詳細を6月中旬に発表して以来、中国は独自のデジタルコイン開発の緊急性に対する認識を新たにしていた。

中国人民銀行の前総裁の周小川(Zhou Xiaochuan)氏は7月初旬、リブラが決済システムと国家通貨に対して脅威となる、と述べた

そのため、中国政府は「十分な準備をし、中国の元をより強い通貨にする」べきである、と周氏は主張した。そして、香港の香港ドルと同様に、「民間の事業体」によるデジタル元の発行も可能にするべきだ、と提案した。

同時期に、中国人民銀行の研究部門責任者の王新(Wang Xin)氏は、同行はリブラの状況を「強い関心」を持って注視しており、同行独自のデジタル通貨の開発が促進される可能性もある、と述べている

週末の発言において穆氏は、中国人民銀行のデジタル通貨は、銀行預金を含むM2ではなく、現地通貨であるM0の代替となるものとなるだろうという点を強調した。また、デジタル通貨は国外も含めて、人民元の流通を促進することになる、と同氏は付け加えた。

中国人民銀行が無数に申請したデジタル通貨関連の特許は、それがどのような仕組みになり得るかを示唆している。それらの特許は、デジタル通貨を発行する技術や、「エンドツーエンド」形式で資産を保管、取引するウォレットを提供する技術の仕組みを示している。

特許によると、デジタル通貨は中央銀行や権限を与えられた中央機関によって発行され、仮想通貨のように暗号化される。ウォレットは通貨を秘密鍵を用いて保管する。またウォレットは、マルチシグネチャ・セキュリティーで保護され、ユーザーは分散化された形で保持することになる。

最新の情報によると、中国人民銀行のデジタル通貨リサーチラボ(Digital Currency Research Lab)の名前で申請された特許は52件あり、最新のものは2018年3月26日に提出、2018年に10月9日に公開されている。

翻訳:山口晶子
編集:町田優太
写真:PBoC image via Shutterstock
原文:China’s Central Bank ‘Close’ to Launching Official Digital Currency