中国の暗号資産規制、9年の歴史

中国の暗号資産規制、9年の歴史

暗号資産(仮想通貨)業界に慣れ親しんだ人なら、中国の暗号資産全面禁止は、完全なる驚きではないということを理解できるだろう。中国は2013年、最初の暗号資産規制を導入して以来、国内の暗号資産業界と敵対的な関係を維持し続けてきた。

今回の最新の禁止令は、とどめの一発のように感じられるかもしれないが、ある意味では、中国の中央銀行に当たる中国人民銀行が8年前に発した暗号資産令の繰り返しでもあるのだ。中国の暗号資産取り締まりのこれまでを、振り返ってみよう。

2013年:暗号資産取引に宣戦布告

暗号資産に対する中国の敵対的姿勢は、2013年12月5日までさかのぼる。中国人民銀行、工業情報化部、その他の金融監視機関はこの日共同で、銀行がビットコイン関連の取引を取り扱うことを禁止する通知を出した。

その時発表された声明で、ビットコイン(BTC)は「特別仮想コモディティ」とみなされており、通貨として機能するための法律上の裏付けを欠いていた。具体的に言うと、この禁止が課されたのは、ビットコインがいかなる国家や中央集権的権威による裏付けも受けていなかったからである。

さらに中国人民銀行は、ビットコインがマネーロンダリングの手段となる可能性もあると指摘。個人によるビットコインの取引は禁止されなかったが、取引に関わる人には、それに伴うリスクに注意するよう勧告がなされた。

この時の通知は、ビットコイン取引が勢いに乗り始めた時に発せられたもので、禁止発表のわずか10日前には、はじめて価格が1000ドルの大台に乗ったばかりであった。発表を受けてビットコイン価格は、当時世界最大のビットコイン取引所で、現在は破綻したマウント・ゴックス(Mt. Gox)で30%以上値下がりした。

ビットコイン取引禁止後のフォローアップという形で、中国人民銀行は12月16日、中国トップの第三者決済サービス企業と会合を持ち、彼らに対してビットコイン取引所とビジネスを行うのを止めるよう命じたとされている。

その2日後、当時中国最大のビットコイン取引所であったBTCチャイナは、人民元の預け入れを停止したと発表。ビットコインはさらに値下がりした。

2017年:ICO禁止

弱まる人民元を支え、中国から不法に資金が流れ出すのを防ぐために、中国人民銀行は2017年1月、暗号資産取引所の活動を捜査し始めた。為替管理とマネーロンダリングへの取引所のアプローチが、捜査の焦点となった。

捜査で明らかになったことが、2017年9月4日の新規コイン公開(ICO)禁止につながったようだ。ICOは、起業家や開発者がトークンの発行・販売を通してプロジェクトの資金を調達することを可能にするもので、当時の暗号資産業界でも最も話題となっていた。

中国人民銀行はICOを違法な資金調達メカニズムと見なした。ICOプラットフォームがICOトークンを発行するのを禁止し、ICOを通じて調達した資金を投資家に返却するよう命じた。

同行はとりわけ、ICOが中国経済の安定性を脅かし、「事業失敗」のリスクをはらむと指摘した。この命令ではまた、金融機関や非銀行系の決済企業も、トークンベースの資金調達活動のためのサービスを提供することが制限された。

中国の暗号資産コミュニティーがこの新しい現実に対処しようとしている中、規制当局は暗号資産取引所に、9月15日までに自発的に閉鎖することを強いる命令を出した。取引所に送られた流出文書によると、事業を段階的に縮小し、ユーザーが資産を引き出すことができるようなプロセスを導入することが求められていた。

この結果、中国を拠点としていた取引所の一部は外国へと事業を移転する一方、閉鎖を余儀なくされた取引所もあった。影響を受けた取引所には、BTCチャイナやViaBTCなどが含まれる。

この規制を回避するために、中国の暗号資産トレーダーたちはオフショア取引所やピアツーピアプラットフォームであらゆる取引活動を始めた。

2019年:注目はビットコインマイニングへ

国家発展改革委員会は2019年4月、地方政府が推奨、制限、段階的に停止させるべきセクターの予備リストの中で、ビットコインマイニングを「望ましくない」とした。

新しく作れたビットコインを報酬として獲得するために、ビットコイン取引を検証するコンピューター負荷の高いプロセスであるビットコインマイニングは、同委員会が非常に有害とみなす業界のリストに入ったのだ。

マイニング機器の相当の割合が中国で製造されていることから、この展開は予想通り、ある程度のパニックを引き起こした。さらに、世界のビットコインマイニングパワーの半分以上は、安価な電力が手に入る中国にあった。

国家発展改革委員会は熟議の末、最終版のリストからビットコインマイニングを除外したが、この事態は今後の展開を予期させるヒントとなっていた。

2020:取り締まり強化

2020年の大半において、中国政府はマネーロンダリングと詐欺を取り締まるための取り組みの一環として、国内での暗号資産取引所の活動に対する引き締めを強めた。中国人民銀行は8月、暗号資産取引所サービスを提供する100以上の海外のウェブサイトをブロックする意図を表明した。

2021年:暗号資産取引とマイニングの全面禁止

中国の暗号資産業界にとって2021年の問題は5月、国務院が暗号資産マイニングと取引の制限を求める過去の暗号資産政策を強化したことから始まった。

これを前に、ビットコインマイニングの中心地となっていた内モンゴル自治区、新疆ウイグル自治区、四川省は、ビットコインマイナーの事業を押さえ込むような政策を導入し始めていた。

国務院の声明を受けて、地方政府は暗号資産マイニングを撲滅させるための積極的な方策を取り始めた。規制当局は新たな取り締まり強化の主な理由として、ビットコインの環境負荷の高さを指摘し、中国の環境面での目標達成を脅かすと主張した。

2017年の暗号資産取引所の取り締まりの影響と同様、ビットコインマイナーは完全な閉鎖、あるいは暗号資産フレンドリーな国への移転を余儀なくされた。取り締まり前には、世界のビットコインマイニングパワーの約50%は中国で生み出されていたため、国際的なビットコイン経済は予想通り、禁止の影響を受けることとなった。

ビットコインマイニングの取り締まりだけでは十分ではないかとでも言うように、中国の規制当局は9月、暗号資産取引を全面的に禁止することを選んだ。

以前の暗号資産取引取り締まりとは異なり、中国人民銀行は、警察や最高裁判所を含む他の9つの国家組織と共に、暗号資産に対する中国の姿勢に関して疑問や誤解の余地を残さないような声明を発した。

発表された共同声明によれば、以下のような条項が発せられた。

規制当局は、国内および海外のプラットフォームを通じて行われる、すべての暗号資産取引(暗号資産から法定通貨の取引と、暗号資産から暗号資産への取引の両方)、トレーディング、投資を違法とみなす。これには、すべてのビットコイン、イーサリアム(ETH)、テザーの取引が含まれる。

外国の取引所向けのマーケティングあるいは技術サポートを行う中国国民は、告訴の対象となる。

国家発展改革委員会は、暗号資産マイニング業界への投資を停止させ、電気料金を引き上げ、新規企業の参入を阻止することによって、同業界を段階的に完全に排除する計画を提示した。

|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:Shutterstock.com
|原文:China Crypto Bans: A Complete History


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