イーサリアム、再びデフレ資産に──NFT取引高の上昇が要因

イーサリアム(ETH)は市場が反発するなか、再びデフレ資産になっている。

ultrasound.moneyのデータによると、イーサリアムの純発行率、つまり年率換算のインフレ率はマイナス0.07%に低下。これはバーン(焼却)されるイーサリアムが発行されるイーサリアムを上回っていることを意味する。

暗号資産ブローカーGlobalBlockの市場アナリスト、マーカス・ソティリオウ(Marcus Sotiriou)氏は、イーサリアムのバーン量の増加は、暗号資産市場の上昇を背景にしたNFT取引高の急増が要因と考えている。

過去7日間で1万4700イーサリアム以上(約2400万ドル、約31億円)がバーンされ、そのうちの約3400イーサリアムはNFT取引によるものという(ultrasound.moneyのデータ)。

NFT取引高は、cryptoslamのデータによると、過去1週間で5%以上上昇して、2億4200万ドルとなっている。取引高の80%、約1億9500万ドルはイーサリアムネットワークを利用したものという。

「イーサリアムブロックチェーンでのNFT取引高の増加は、より多くの取引が発生し、その結果、より多くのイーサリアムがバーンされることを意味する」(ソティリオウ氏)

取引増加でバーンも増加

多くの市場関係者は、昨年秋のマージ(Merge)、つまりプルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)への移行により、イーサリアムはデフレ資産となるだろうと予想していた。

さらにイーサリアムのインフレ率は、取引手数料をバーンするメカニズム、EIP(Ethereum Improvement Proposal)1559によるものでもある。EIP1559によって、イーサリアムは取引高が増えれば増えるほど、バーン量も増える仕組みになっている。

イーサリアムは11月の暗号資産取引所FTXの破綻をきっかけとした市場ボラティリティのなかで、バーン量が増加し、デフレとなったが、その後、市場低迷が続き、利用が低下したことでインフレに転じた。

しかし、市場の回復に伴って、イーサリアムブロックチェーンの利用が急増、再びデフレに転じている。Etherscanのデータによると、過去6カ月、バーン量はおおむね1000~2000イーサリアムだったが、1月18日に2700イーサリアムを超えるまで増加した。

イーサリアムのバーン量の推移(Etherscan)

当記事執筆時点、イーサリアムは1週間で約4%上昇、1625ドル付近となっている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:ultrasound.money
|原文:Ether Turns Deflationary Again Led by Spike in NFT Sales