イーサリアムのステーキング、1600万超(3兆円弱)──集中化懸念も強まる

イーサリアムブロックチェーンがプルーフ・オブ・ステーク(PoS)への移行に成功してから約4カ月、Etherscanのデータによると、ビーコンチェーン(Beacon Chain)のステーキング額は1600万イーサリアム(ETH)を超えた。

この数字はイーサリアム総供給量の13%以上を占め、現在の価格で約223億8000万ドル(約2兆8900億円)に相当する。2020年、PoSネットワークのビーコンチェーンが先行導入され、ステーキングがスタートした。

バリデーター(イーサリアムブロックチェーンの運営を支える人たち、ビットコインのマイナーに相当する)は、取引を検証し、報酬を手にする機会を得るためにイーサリアムをステーキングする。ステーキングされたイーサリアムには利回りが発生するが、3月に予定されているアップグレード「シャンハイ」まで引き出すことはできない。

ステーキングされたイーサリアムが増加していることは、イーサリアムブロックチェーンの安全性と普及に向けたポジティブなサインと解釈できるが、一方で引き出しを可能にする作業の迅速化を求めるプレッシャーにもなり得る。

(Etherscan)

ブロックチェーンデータ分析のNansen(ナンセン)によると、ステーキングしている人のユニーク数は約9万2500。BeaconScanのデータによると、アクティブバリデータ数は約49万8000にのぼる。

ステーキングされたイーサリアムが多ければ、理論的には悪意を持った人物がイーサリアムブロックチェーンに害をもたらすことは難しくなる。これはポジティブなことだが、現状、ステーキングの大部分は一部の大口投資家によるもので、過剰な集中化に対する懸念が浮上している。

(Nansen)

Nansenのデータを見ると、1600万ETHのステーキングのうち、約465万ETHはLido(リド:コミュニティ主導のバリデーター集団)によるものだ。リド、コインベース(Coinbase)、Kraken(クラーケン)、Binance(バイナンス)の4大バリデーターで、ステーキングされたイーサリアムの半分以上、55.88%を占めている。

イーサリアムブロックチェーンがかつてのプルーフ・オブ・ワーク(PoS)コンセンサスメカニズムからPoSに移行した昨年9月のマージ(Merge)以降、ステーキングされたイーサリアムは約16.68%増加している。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Nansen
|原文:Staked ETH Passes 16M